しかし注意すべきことは、訪中日本人観光客数が回復しておらず、今年上半期も減少を続けたことだ。これは日本の輿論が形成した中日関係の雰囲気が、中国の輿論よりも厳しく、複雑であることを想像させる。日本人の中国に対する認識も悪化し、国民全体の自信が低下している。中日の異常な関係を「正常化」させる面で、中国社会は日本よりも一歩先んじている。
21世紀の国家関係は、愛と憎しみによって割り切れるものではなく、多元化を阻止できない。交流は通常、隣国との関係の中で時代の流れを最も良く反映する。中日の政治家は、これを深く認識するべきだ。輿論は往々にして雰囲気を最も左右しやすいが、現実社会は輿論と政治によってけん引されるただの車両ではない。
当然ながら、訪日中国人観光客数が「激減」する可能性もある。中日関係が急激に悪化すれば、観光客数は減少するだろう。この減少は自然な流れの一部であり、中国にはこの変化を自由に操れる勢力が存在しない。
中国は海外旅行大国になった。これは全体的に、海外の中国に対する政治的な関心と尊重を促すが、海外旅行は自由かつ効果的に使いこなせる外交ツールではない。米国の対外制裁のうち、優先的に観光業の制裁が選択された例は稀で、世界的に見てもこの種の制裁は多くない。
中国人が海外を旅行し、世界を見ることを奨励するべきだ。中国の対外開放の主役は、国家から民間に移ろうとしている。海外旅行の大発展は、中国と世界の深い融合の側面の一つだ。日本は中国の台頭の道における重要な存在で、中国の台頭が複雑であればあるほど、日本は中国にとって複雑になる。日本は「敵」や「友」などの簡単な字により描写できる国ではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月29日