日本政府が5日発表した2014年版防衛白書には、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の内容が初めて盛り込まれた。これは日本の防衛政策の転換を示すものと分析される。日本問題専門家の馮瑋氏は「集団的自衛権の行使容認は日本の防衛政策が質的に変化し始めたことを意味する。『いかなる時であれ先制攻撃できない』という従来の専守防衛政策から、『先制攻撃できる』への転換だ」と指摘した。
馮氏によると、従来の専守防衛政策では、日本は日米同盟の中で保護される役割にあった。つまり、日本が攻撃を受けた場合、米国は集団的自衛権を行使し、同盟国の義務を尽くして反撃を行うが、米国が攻撃を受けた場合は、日本は専守防衛の原則に基づき集団的自衛権は行使できず、個別自衛権しか行使できないため、米国との共同防衛は行えなかった。日米同盟において日本の地位が高まったことは、日本の防衛政策の著しい転換だ。
集団的自衛権の行使容認を推し進めるプロセスについて、馮氏は「集団的自衛権の行使容認が出てきたのはついここ数年のことだが、平和憲法の性質を変えるのはここ数年のことではない」と指摘。さらに「米国の戦略上の必要から、日本の平和憲法の性質は次第に変化し始めた。一方、集団的自衛権の行使容認は第1次安倍政権になってようやく動き出したもので、今回の集団的自衛権の行使容認は法理上、安倍政権による取り組みの1つの最終結果だ」と説明した。
日本はかつて「戦争を放棄し、軍を保持しない」という憲法9条の規定に基づき、集団的自衛権を放棄した。馮氏は日本が憲法9条を改正しようとする場合の主な関門として、次の3つを挙げた。 第1の関門は米国。米国は今回の集団的自衛権の行使容認を含め、基本的に日本のやり方に対して公に支持を表明している。安倍政権の憲法改正の動きにも反対を表明したことはない。
第2の関門は国会。現在日本の政界は自民党の一党優位で、自民党を牽制できるチェック・アンド・バランス勢力はない。さらに右翼政党の支持もあり、衆参両院で3分の2以上の賛成を得るのは非常に困難なことではない。
第3の関門は国民投票。日本国憲法96条の規定により、衆参両院で3分の2以上の賛成を得れば、次に国民投票を行い、過半数の賛成を得れば、正式に憲法を改正できる。問題は、現在日本の民衆は憲法改正に対して反対が賛成を上回っていることだ。
日本が軍備拡張を打ち出したことについては「軍備拡張を軍国主義の道を歩むことと単純にイコールで結ぶことはできない。軍国主義は特定のシステマティックな設定であり、比較的広範な社会的土台も必要とする。だが現在の日本はこうした制度的規定を欠くし、1930年代のような熱狂的な民衆の支持も欠く」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年8月7日