8月15日の敗戦記念日が近づく中、靖国参拝が日本で再び敏感な話題になっている。共同通信社は13日に複数の記事を発表し、日本海上自衛隊が長年に渡り集団で靖国神社を参拝していたことを暴露し、この行為が憲法の規定する「政教分離」の原則に背くのではと疑問視した。
共同通信社によると、自衛隊の集団参拝の情報は、社報「靖国」(月刊)から得られた。その内容によると、海自の練習艦隊司令官と初級幹部ら計119人が、実習で遠洋航海に出る直前の5月20日の火曜日に、制服姿で集団参拝した。防衛省は、「自衛官は休憩時間を利用し、歴史を学習するため遊就館を見学し、私費で玉串料を支払った」と表明した。「靖国」を見ると、少なくとも2000年以降、毎年練習艦隊の集団参拝の記事がある。 「靖国」はまた、99年に航空自衛隊幹部学校教官の2佐ら24人が集団参拝したことや、防衛省幹部がほぼ毎年、春季・秋季例大祭に参列していることも伝えている。このほか「靖国」によると、自衛隊員有志による境内清掃、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の学生による「自主的行事」としての学校から靖国神社までの夜間行進―なども、長年続いている。2012年2月号では、自衛隊イラク派遣で04年に第1次復興業務支援隊長を務めた佐藤正久参院議員が、「九段(靖国)と市ケ谷(自衛隊)の距離を縮める」ために、「国民を挙げて考えて行かねばならない時期を迎えつつある」と書いている。
戦時中、神道は日本軍国主義の精神的支柱になり、日本を侵略の道に押し上げた。ゆえに戦後日本は、平和憲法により国家に宗教団体の特権を与えることを禁止し、国家と関連機構が宗教組織や宗教活動のために公的資金を提供することを禁じた。共同通信社は13日、政教分離の条項に基づき具体的に判断する際、最高裁判所は主に次の2点を出発点とすると伝えた。(1)行為の目的が宗教的意義を持つか否か。(2)行為の効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるか否か。共同通信社の編集委員の石山永一郎氏は、「憲法20条2項が禁じる、宗教行事への参加強制には当たらないとしても、公務中か否か、靖国への援助、助長、促進に当たらないかどうかは微妙だ。集団参拝だけでなく、『自主的行事』としての隊員による境内清掃や防衛大生の夜間行進など靖国と自衛隊の関係は深い。安倍晋三政権による集団的自衛権行使容認によって自衛隊の任務の危険性が増す恐れもある中で、両者の『密接な関係』は今後、論議も呼びそうだ」と指摘した。
神戸学院大学法学部准教授の福島敏明氏は、「自衛官として制服を着用しての参拝は、公務上の参拝と呼べる。これは個別の自衛隊員の問題というよりは、毎年靖国神社を参拝している自衛隊に組織的な問題がないかを考える必要がある。集団参拝は国民に対して、靖国神社が特別扱いされている、靖国神社と自衛隊の間には特別な関係があるといった情報を送る。靖国神社の社報の記事は、最高裁判所が違憲と判断する基準を満たしており、違憲の疑いがある」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年8月14日