第二次世界大戦後、日本とインドの関係は平淡で、特に対立することもなく、過度に親密になることもなかった。しかし21世紀に入ると、情勢に大きな変化が生じた。森喜朗元首相が2000年8月にインドを訪問した際に、両国は「21世紀における日印グローバル・ パートナーシップ」を発表した。先ほど訪日したモディ首相が9月1日に署名した「東京宣言」は、両国の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の構築を宣言した。両国関係は、日増しに親密になっている。また両国の防衛を巡る交流と協力も深化を続けている。
両国は軍事交流・協力の目的をひた隠しにしているが、地政学および戦略面において、「中国の要素」は避けられないものになっている。
まずは地政学の「中国の要素」を見ていこう。日本はインドと同じく、中国との間に領土を巡る大きな係争を抱えている。双方の軍事協力の方向性が一致していることは分かりやすい。
日本にとって、インドはユーラシア大陸の南西に位置する、中国の南西方面の重要な隣国だ。これを地政学的に見ると、北東方面の日本と共に、1本の中国包囲チェーンを形成できる。特にインドには、インド洋のシーレーンをコントロールできるという、地理的な強みがある。インドもまた、南アジアでの主導権を維持・強化する助けを必要としている。インドメディアはモディ首相の訪日前に、日本は「インドのアジアにおける最良のパートナー」と称し、日本との軍事同盟の結成について議論するようモディ首相に提案した。
そして、日本とインドが歩み寄りを続けることには、米国からの影響もある。米国は日印両国の戦略的な歩み寄りを非常に歓迎しており、日印協力を通じ中国をけん制し、日本―中国台湾―インド洋という戦略的な包囲網を形成しようとしている。
日本とアジアはアジア2位・3位の経済体であり、両国の協力は注目を集めている。中国外交部の秦剛報道官は9月1日の定例記者会見で、「中国はモディ首相の訪日に関する状況に注意している。中国とインドはいずれも大国で、平和五原則の提唱者・実践者であり、それぞれ独立した自主的な外交政策を進めていることを強調しておく」と述べた。いかなる二国間関係も所在する地区の平和と発展を促進するべきで、地域内の対立や係争の激化を出発点としてはならない。これは日本とインドが軍事協力を強化する際に、検討すべき問題だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年10月15日