短期的な日本滞在と日本の庶民との交流では、右傾化した民族主義つまり「新軍国主義」の復活をはっきりと見ることはできない。英国の駐日大使を務めたヒュー・コータッツィ氏は、「極右主義が日本の民主をおびやかしている」と語っている。同氏は、日本の高市早苗総務大臣がヒトラーを賞賛する書籍に推薦文を寄せたことや、安倍晋三首相が戦犯を「殉難者」と追悼していることを「理解し難い」とし、「英国人には受け入れられない、英国なら退陣が当たり前だ」と語った。極右勢力が政府を乗っ取ることに対抗する勢力は国会では少なく、まとまりも取れていない。
日本滞在の学者で「菊と刀」の翻訳者である熊達雲教授は、「日本の立場から考えれば、日本が中国との親しい関係を求めてくることはない」と語る。日本の庶民の93%が中国に対して悪いイメージを抱いているというが、その原因は、大量の日本メディアがマイナスの報道をしていることにある。日本では、『テレビに映る中国の97%は嘘である』『なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか』『中国崩壊前夜』『中国台頭の終焉』などといった書籍がベストセラーになっている。新軍国主義の思想は確実に、日本の民衆に広がりつつある。日本のニュース・出版界のこうした状況と、メディアに対する日本人の65%という高い信頼を前に、軍国主義が復活し得ないと考えることに根拠があると言えるのか。
米ハーバード大学の著名教授で『鄧小平時代』の作者であるエズラ・ヴォーゲル氏は取材に対し、「過度な愛国主義と右傾化」を警戒するよう日本に促した。日本が戦後、奇跡的な経済復興を遂げたのは、「他国の信じがたい寛大さ」によるもので、中でも「中国が戦争賠償を放棄した」ことが原因の一つとなっている。こうした高官や学者の認識の説得力は、日本社会に少し触れて出した結論とは比べものにならない。
最後にもう一度強調しておきたいのは、「新軍国主義」が形式的には従来の意義での軍国主義ではないということだ。現在日本で現れている右翼民族主義は、世界の極端な民族主義と呼応し、保守化や右傾化の進む日本の政界全体と調和し、日本の庶民の不安に寄り添ったものである。歴史を通じて現実を見、現象を通じて本質を見、静態を通じて動向を見ることが、「実事求是」の方法論の根本である。さて、日本の軍国主義復活は本当に「杞憂」と言えるだろうか。(南京軍区・元副司令員 王洪光)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年11月17日
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