苦難に満ちた回復
「失われた20年」―これはここ数年、日本最大の経済紙『日本経済新聞』が掲載した記事でよく現れるフレーズである。20年も失い続けた日本。特に活気に満ちた周辺国家の経済情景と比べ、その失楽ぶりは尋常なものではなかった。本来そういうはずではなかった。
経済を快速発展の軌道に取り戻す。このことは、大多数の日本国民にはすでに想像できるものではない。失われた歳月を歩き出し今の生活水準を保つ。日本庶民の殆どにとっては、それさえできれば、すでに願ったりかなったりだ。
日本経済の苦しさは国内消費市場の縮小と輸出けん引力不足に現れている。過度な円高、デフレ、株式市場の低迷。これらは経済で解決すべき最優先問題だ。安倍内閣はこれまでの2年間で円高による日本経済への圧迫問題を解決した。安倍政権前、1ドルが76円だった円ドル為替相場が、2014年11月19日に1ドルが117円近くまで迫り、2年足らずで50%以上も円安が進んだ。
円安によって、海外で100ドルを稼いだ日本企業は、それまでわずか7600円しか換算できなかった日本円が急に53%増の11700円になった。海外でビジネスを展開している企業の株価が証券取引市場で上昇し、過去2年間で約60%も上がった。おかげで企業は活気を取り戻し始めた。
しかし、日本経済は依然として苦境から脱せずにしている。
円安によって、輸入食品や日用雑貨といった物の価格が上昇し、円安になったからといって、企業が海外から日本国内に回帰するわけでもない。日本市場の縮小は一向に止まらず、今後縮小し続ける可能性が更に大きくなる。そこに潜んだかなり重要な原因は人口の高齢化と総人口数の減少だ。ここ2年間、国内消費や企業による設備投資が改善されたわけではないし、アベノミックスが解決すべき消費・投資という最優先問題も依然として未解決のままである。
過熱気味の株式市場と円安は実際、一般庶民と直接かかわりのないことだ。今は安倍首相が経済顔に切り替わる時だ。しかし消費税の看板を掲げるのは、今は決して良いタイミングではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年11月25日