日本人人質事件の交渉の進展に詳しいヨルダン議会の2名の議員は、ヨルダン政府は過激派組織「イスラム国」が指名したサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放し、日本人の人質とヨルダンのパイロット、モアズ・カサスベ氏を解放するよう求めていると明かした。共同通信社が27日に伝えた。 ヨルダン下院のバッサム・マナシール外交委員長とアリ・バニアタ・ヨルダン日本友好議員連盟会長は共同通信社の取材に応じ、ヨルダン政府のこの意向をほのめかした。
マナシール氏によると、ヨルダン政府は仲介者を通じてイスラム国と接触している。イスラム国は当初、人質になったパイロットのカサスベ氏とリシャウィ死刑囚の交換を求めていた。ヨルダンは同死刑囚の釈放の前提として、後藤健二氏とカサスベ氏を同時に解放するよう求めている。 カサスベ(26)氏は先月24日、シリア北部のイスラム国の大本営であるラッカで空襲作戦を遂行していたが、操縦していたF-16戦闘機が墜落した。カサスベ氏はその後、イスラム国の人質になった。
マナシール氏は、 後藤氏解放のためだけにヨルダン政府が死刑囚を釈放することはできないと述べ、理由について「パイロットが交渉対象から外され、殺されかねないことを意味する」と話した。
しかしマナシール氏は、「二人と死刑囚一人の交換が政府にとって最善の解決策だ」と表明した。しかし「イスラム国はパイロットも解放する条件として、他の囚人釈放や身代金など高い代償を求めてくる可能性がある」との見方を示した。
日本は楽観的 一部のアナリストは、日本人人質事件の処理に関する最終決定権は、アブドラ国王にあると分析している。
日本政府は記者の取材に応じた際に、交渉継続中を理由にコメントを控えた。しかしヨルダンの現地対策本部で指揮を執る中山泰秀外務副大臣によると、両国政府は日本人とパイロットの解放実現に向け協力を進めている。
中山外務副大臣は、「後藤さんとカサスベさんが笑顔で戻ってくることを願う」と述べた。 米国は反対 ヨルダンとイスラム国の人質・死刑囚交換について、米国政府は反対を表明した。
米国務省のサキ報道官は26日夜、「イスラム国の要求を飲めば、この武装組織に身代金を支払うようなものであり、テロリストに妥協したことになる」と発言した。
米国政府が昨年5月、タリバンに拘束されていた米陸軍のボブ・バーグダル軍曹の解放と引き換えに、収監していたタリバン幹部5人を釈放したことに関する記者の質問に対して、サキ報道官は米国の言行不一致を否定した。
サキ報道官によると、バーグダル軍曹の当時の身分は「捕虜」であり、今回の人質事件とは「完全に異なる」という。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年1月28日