林国本
最近、中国のスポーツ・ファンやスポーツ評論家の間で話題となっているのは、北京オリンピックで中国は金メダル総数がトップとなったが、多数のファンがいるサッカー、女子バレー、バスケットはどうもパッとしない、なんとかならぬものか、とあせりに似た発言がよく聞かれる。
サッカーとバスケットは別として、女子バレーはかつて世界の王座についたことがあるので、そこから転落するのはファンにとっても、目にしたくないことだが、バレー界の人たちにとっても、大きなプレッシャーとなっているに違いない。
しかし、冷静に考えてみれば、スポーツの世界というものはそういうもので、王座に登りつめれば、その日から「追われるもの」となり、世界の強豪がそれを引きずりおろそうとして、いろいろ策を練ることになる。スポーツの面白さもそこにあると思う。
また、1つのチームとしても、そのメンバーはいつかは引退せざるを得ない日が来る。そうすると、また新しいメンバーのすり合わせのプロセスが始まる。この時期に王座からの一時的転落が起こるわけである。永遠に転落を防ぐことは不可能に近い。そうなると、たまたまこの時期にこのチームの監督になった人間は、「貧乏クジ」を引いたことになりかねない。