考えようによっては、シンガポールのやり方では北京市ひとつだけでも、1人当たりのGDPで日本を上回ることも不可能ではないのだ。もちろん、シンガポールがここまで来るには、いろいろ曲折があったと思われるし、また、これからも世界経済の変動の波をかぶることも避けられないと思うが、こういうユニークな発展モデルは参考に値すると思う。もちろん、中国はシンガポールと国情も違うので丸写しは不可能だろうが、1人当たりのGDPが相撲の世界ではまだ幕下クラスの中国にとっては、いくらGDPの規模では世界で2位になろうとしても、この1人当たりのGDPの低さは、やはり歯を食いしばってでも、なんとかしなければならない。
中国は国土も広いし、石油や良質の鉄鉱石など、一部の資源は外部に依存しなければならないが、このところ、しきりに強調されている発展様式の転換や科学的発展観を着実に実行して、中国の特色あるというユニークな発展の道を歩むことが必要である。
さいきん、中国の東北地区の黒竜省では現代農業の確立ということが提起され、テレビでは広大な農地に飛行機で農薬を撒布している映像がよく見られる。近代的な、「コンピューター制御」の灌漑用水路がはりめぐらされ、旱害とか冠水に悩むことはなくなる、とかいろいろ、理想像が描き出され、やがては日本のコシヒカリに匹敵する米を全国各地に出荷する時代が来るらしい。このモデルの構築に成功すれば、アジアの農業にとっても寄与することになろう。そして、モデルとして丸ごと「輸出」することも不可能ではない。
さらにはまた、各省でそれぞれの特色にもとづいて実行されている近代化策も、それが実現したあかつきには、シンガポールのようなユニークな内容を持ったモデルが全国各地にできることになろう。