近年停滞している中日韓の協力枠組みが、復活を始めた。第10回中日韓高級事務レベル協議が3月11日にソウルで開かれ、3月下旬には外相会談が開かれることになった。中日韓関係の一時的な回復の勢いを借り、年内に首脳会談が実現されるかはさておき、3カ国の外交部門による中日韓協力の実現可能なモデルの再検討を促すべきだ。特に中日韓関係の政治的な敏感性を鑑み、中日韓協力の「弱政治化」(政治的立場を弱める)を試みてはどうだろうか。「環球時報」が伝えた。
政治的意向のレベルから見て、中日韓の政治・安全分野の消極的な交流が長期化すると見られるが、これは中日韓の協力が「不可能」という境地に陥ることを意味するものではない。
中日韓の学者は近年、「政冷経熱」という言葉により、3カ国関係の現状と問題を表現することに慣れているが、実際には必ずしも正確とは言えない。今日まで発展を続けてきた3カ国の関係の影響は、すでに政治と経済という二つの緯度をはるかに上回っている。例えば3カ国は大気汚染政策対話を行った。この枠組みの構想は、中国の大気汚染から得られた。この構想は2013年の中日韓環境大臣会合で韓国から提案され、合意に至り、2014年3月に正式に構築された。このような対話や協力は、外交・防衛のように高い敏感性を持たないため、政治的立場の弱い協力の範疇に収められる。
中日韓は今後、政治の膠着状態を背景とした協力の手段と実施案を模索する可能性がある。その足がかりとなるのは、「弱政治化」という方針の取り組みだ。「弱政治化」の方針は、2本の軸から徐々に展開し、実行に移すことが可能だ。
まず、新たな安全分野の対話と協力の拡大と深化だ。外交・防衛などの伝統的な安全分野では発言が行動に勝るが、環境、防災、反テロ、核安全、食品安全などの協力はより実務的だ。EU一体化の経験は、経済および政治との関連性の低い分野の協力は、政治・安全協力に波及効果を及ぼすことを示している。東アジアでは、この波及効果が実現されるかについては意見がまとまっていないが、3カ国の政府間の相互信頼関係の構築が積極的な効果を生み出すことは間違いない。
次に、中日韓の政府間対話・協力枠組みが、民間から切り離されているという現状を変えるべきだ。3カ国の各分野の協力は、往々にして政府レベルに限られており、企業・公民・社会団体など民間・社会の力の参加と支援が不足している。ゆえに3カ国の「弱政治化」の協力は、官民・産官連携の相互交流を導入するべきだ。例えば3カ国は「中日韓協力基金」の設立を検討するべきだ。3カ国政府が資本金を出資し、企業と社会団体から広く資金を集め、3カ国共同の研究やプロジェクトの展開などに充てることが可能だ。
当然ながら、政治を巡る協力にせよ、政治との関連性の低い協力にせよ、3カ国の協力のさらなる制度化を前提とする必要がある。国際関係の理論および外交の実践の角度から見ると、多国間の外交は二国間の外交を単純に組み合わせたものではない。具体的に北東アジアを見ていくと、いかに中日韓の協力の多角的な要素をとらえ、双方の係争を巡る衝突を回避するかが、3カ国の協力の安定性と持続可能性の鍵となる。また3カ国は2011年にソウルで、3カ国の協力に関する常設機関、中日韓協力事務局を設立した。長期的に見ると、事務局は調整という役割のみではなく、職能の強化を模索し、3カ国の協力の発起人・計画者・研究者という複数の役割を演じるべきだ。(筆者:張暮輝 東京大学博士課程、元中日韓協力事務局政治プロジェクト担当者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年3月16日