第3版の指針は、「グレーゾーン事態」、「重要影響事態」、「存立危機事態」という新たな概念を打ち出した。これらの「新事態」の定義は、非常に曖昧だ。例えば2014年版の防衛白書は「グレーゾーン」について、「純然たる平時でも有事でもない幅広い状況」と定義付けしている。「存立危機事態」に至っては、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされる明白な危険がある事態」と定義付けられている。日本はこうしてより幅広い軍事活動の空間を手にし、干渉の範囲を全世界に拡大できる。しかもこの「新事態」のは完全に日本政府に判断され、客観的な基準がなく、勝手次第で危険である。
新たな指針の「新事態」は、完全に防衛の範疇を超えている。日本は第1版の指針の保護を受ける者ではなくなっており、第2版の地域への干渉者としての役割に満足しておらず、かつ世界事業に干渉しようと妄想している。日本が分をわきまえないのは、新たなナショナリズムによるものだ。日本は米国に対する軍事的依存を断ち切り、さらに米国と対等に付き合い、機を伺い新たな覇権を手にし米国の代わりになろうとしている。
現在の世界において、安全問題は総合的な問題である。各国は政治・経済・軍事・外交など多くの手段を活用し、さまざまな脅威に対応し、これを解消しなければならず、軍事力ばかりに依存してはならない。安倍政権は平和的発展の主流を無視し、頑迷にも右翼の思想を守り、歴史の教訓を深く反省せず、危険な軍拡の道を狂奔し続けており、同じ轍を踏むことは必至だ。(筆者:武養浩 中国人民解放軍軍事科学院)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月6日