日本と隣国の領土問題が近年エスカレートし、日本の出版業界では「領土・領海書籍ブーム」が生じている。これらの書籍の多くは日本側の立場で歴史を描写し、日本の領土管理の強化の重要性を強調している。横浜国立大学名誉教授の村田忠禧氏が上梓した『史料徹底検証 尖閣領有』は史料によって、釣魚島(日本名・尖閣諸島)が日本固有の領土ではないことを証明した。この日中の領土問題に関する最新の研究成果は今年1月に出版されたが、日本社会から注目されていないばかりか、メディアの「黙殺」にあっている。しかしながら本書は、日本の「領土書籍」の中で「異なる声」を発した。
学者が脅迫を受ける
日本と隣国は近年、歴史問題を巡り摩擦を続け、日本の出版業界の「領土・領海書籍ブーム」に火をつけた。神奈川県学校図書館研究会が実施した調査によると、1990年代から2012年まで、日本ではあまり多くの領土問題関連書籍が出版されていなかったが、2012年以降は急増した。しかし村田氏のような公正な立場から、確かな史料を使い日本政府の主張に反論している書籍はごく少数だ。
日本メディアが本書をほとんど報じていないことから、その存在を知る日本人は少ない。しかし村田氏がメディアの取材に応じた際の発言内容は、右翼のウェブサイトに転載された。ある人はネット上で、村田氏を「売国学者」と呼んでおり、さらには「蒸発させてやる」と脅迫する内容もあった。
しかし本書の内容を知る学者は、異なる観点を持っている。関西地方で歴史学を教える大森教授は、環球時報の取材に応じた際に、村田氏の研究成果を高く評価し、「本書は厳しい論証を踏まえ、事実を尊重しており、学術水準の高い歴史の著作だ。日本の領土を研究した書籍の中で、異なる声を発した」と述べた。
東洋学園大学教授の朱建栄氏は環球時報の記者に対して、「本書は外務省の説に初めて真っ向から反論し、史料によって釣魚島問題の概念のすり替えを証明した。本書の社会の認知度を高めるため、日本華人教授会議は4月に、村田氏の演説を実施した」と述べた。全日本華人華僑連合会の顔安会長は、「10万円を出資し村田氏の新書を購入し、日本の政界関係者に無料で配布する予定だ」と述べた。