映画『大寒』のクランクアップが迫っている。元教師の張双兵さん(62)は、慰安婦にされた172人のため駆け回った自身を演じ、海外から注目を浴びている。
張さんは中国北部の陝西省陽泉市の農村部の教師で、昨年定年退職したばかりだ。現地は抗日戦争中、中国共産党が指導した有名な百団大戦の主戦場で、日本軍が無数の罪を犯した場所でもある。
張さんは1982年、現地で被害を受けた高齢者に出会った。張さんと知り合ってから10年後、彼女はようやく重い口を開き、昔のことを話してくれた。日本軍の罪により、彼女は生後2ヶ月の娘と離れ離れになった。母乳を与えられなくなり、娘はむざむざ餓死した。日本軍の暴行を受けたため、彼女は子供を産めない体になってしまった。
張さんはその後の30数年の間に、教師としての少ない収入、夏休み・冬休み、それから週末のほとんどの時間を使い、山西省・陝西省・河北省を駆け回り、10数万字の歴史の証言をまとめ上げた。
張さんは1992年、日本軍の性的暴力を訴える中国大陸初の告訴状を自らしたため、日本政府に提出した。その後15年に渡り、国を跨ぐ訴訟が展開された。万愛花さんを含む16人の被害者は、張さんに率いられ、老骨に鞭打ち日本で出廷した。
日本の最高裁は2007年4月の判決で、原告の慰安婦の請求を棄却した。張さんはこれに失望した。高齢者は次々とこの世を離れていき、日本政府は彼女たちが死ぬまで謝罪・賠償しなかった。