526化学部隊の存在を証明する写真
731部隊の悪魔の兄弟526部隊の存在を証明する写真
鄒さんは、日本から帰国する前、日本で留学したり、働いたりしている友人数人に、旧日本軍の写真を見つけてほしいと頼んだ。すると1カ月後、友人から、「古本屋で中国を侵略した旧日本軍のアルバムを見つけた。写真が100枚くらい入っている」と電話がかかった。アルバムを開くと、「関東軍化学部」や「第526部隊」などの文字が目に飛び込んできた。
526部隊の存在は、残虐な生体実験で知られる関東軍731部隊ほどは知られていない。化学兵器の研究や製造を行っていた526部隊は、捕虜を使って毒ガスの実験を行ったり、効果を試すために中国で毒ガス弾を発射したりしていた。しかし、その詳細な証拠を、日本が敗戦宣言する前に、全て処分してしまったため、その存在は闇に包まれてしまった。1991年2月13日、元526部隊の老兵・若生重作さんと高橋正治さんが自責の念から、メディアを前にその内幕を明かし、歴代日本政府が、旧日本軍の化学兵器使用を否定していることに反論した。
それでも、関連の史料が極端に少ないため、日本では、多くの専門家が526部隊の存在そのものを否定している。そのため、鄒さんが手に入れたアルバムは大きな意義がある。
特筆すべきは、アルバムの元の持ち主が、アルバムの1ページ目に自身の母親の写真を入れ、部隊の最高長官や自身の写真は他のページに入れていた点だ。鄒さんは、「戦争がなければ、この持ち主は、母親を思う、親孝行息子だったのでは」と複雑な気持ちになったという。