「中国人が不動産を買い漁り、現地の地価が高騰 日本人を泣かせる」という記事は、センセーショナルな見出しによって注目を集めた。シドニー、バンクーバー、米国を席巻した中国人の不動産購入ブームが、日本にまで蔓延している。中国の不動産購入者を満載した大型バスが次から次へとやって来て、現地の不動産価格を押し上げているというのだ。
しかし新華国際の調査によると、日本では現在確かに海外投資家による不動産取引が活発化しており、人気エリアの不動産価格が高騰しているが、これは中国人だけが原因ではない。中国、特に内陸部の不動産購入者はまだ問い合わせと静観の段階であり、実際の成約件数・金額は少量だ。
【不動産価格が高騰、原因は中国人にあらず】
国土交通省が6月に公示した不動産価格指数によると、2015年3月の全国住宅総合指数は前年同月比で+1.5%となった。そのうち住宅地は−0.6%、戸建ては−1.4%。マンションは+7.5%で、25ヶ月連続で上昇。
みずほ信託銀行の都市未来総合研究所が5月に発表した報告書によると、海外投資家の日本における不動産取引が活発化している。2014年度(2014年4月から翌年3月まで)の日本の不動産売買取引額は5兆2890億円に達した。そのうち外資系法人は全体の23%を占める1兆1949億円。シンガポール政府投資公社が、「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」のオフィス部分を約1700億円で買収したことが代表例。
大阪で不動産仲介業を営む、株式会社スカイラインの李臣祚社長は、「当社の状況を見ると、大阪の繁華街の不動産価格の年間上昇率は10%以上に達している。購入者が殺到する中、価格の吊り上げも生じている」と述べた。
大阪で昨年取引されたビルは、当初の価格が60億円だったが、購入意向を持つ人が増えたことで、シンガポール企業によって80数億円で落札された。
富士通総研経済研究所の柯隆主席研究員は取材に応じた際に、「日本の不動産の話題が中国国内でもてはやされているが、日本で不動産を購入する個人投資家は多くない」と指摘した。