米国の多くの同盟国がワシントンの不興を顧みずにAIIBに加盟する時代、貿易ルール制定の裏の主旋律として地政学的な考慮を据えようとするのは現実的ではなく、米国にせよ中国にせよ、そんなことをするのは不可能である。
中国のAIIB設立の呼びかけのねらいが金融になく、地政学的な要素を考えただけのものだったとすれば、設立準備がこれほどの成功を収めることはなかっただろう。逆に米国が、TPPを口では唱えながら、北大西洋条約機構(NATO)のような効果を本当はねらっているのだとすれば、これを成功させるのは極めて困難となる。
中国人は自信を持ってTPPの交渉の進捗を見守り、中国の貿易利益に対する冷静な判断によって、アジア太平洋自由貿易圏の推進加速とTPP参加の可否との関係を評価すべきである。この問題において、こちら側の着眼点が地政学的なものとなることは避けなければならない。
そのためTPP交渉の妥結・非妥結による中国へのプラス・マイナスの影響は、米国人によって掌握され得るものではない。WTOの主導者も米国などの先進国だったが、中国は後からこれに参加して華麗な転身を果たした。現在の中国は世界の貿易情勢の不確定性に対処するより高い能力を備えており、協定の締結を受け身で迫られるような役どころはすでに私たちのものではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年8月2日