日本はこれまで、表面的には朝鮮を日本の軍事的脅威とみなしてきた。だが朝鮮は一国のGDP(2014年214億ドル)をもってしても、日本防衛省の一年の軍事予算(2014年500億ドル近く)には到達しないのである。このような宣伝には十分な説得力はない。
中国と日本との領土問題での衝突を引き起こして初めて、世論は一致して中国を安全上の脅威だと考えるようになる。このような行動を右翼の地方の首長が起こし、それを国家が引き継ぐ。こうしてその目的は実現されたのである。
次の一手は、日本が自国の領土を防衛できるだけでなく、戦争の参加と発動の権力を握ることである。安倍内閣はこれを、「安全保障関連法案」の成立という方式で推進しようとしている。
安倍首相は国会で、日本の軍隊(自衛隊)が中国の南中国海に任務のために派遣されることはあり得るかと質問されると、「(武力行使の)新三要件に従って対応できる」と明確に答えた。南中国海で戦争がないとなったら、南中国海の周辺の国に武器を輸出し、戦争の発生する環境を整えようとする。日本はここ数年、フィリピンやオーストラリア、ベトナム、さらにはインドにも多くの武器装備を提供している。その目的もやはり、戦争のムードをあおり立てることだと考えられる。
安倍内閣の目論みは、法律の準備の面では非常に順調に進んだ。だが現在行き当たっている最大の問題は、日本国内の民衆が「安全保障関連法案」を「戦争法」と呼び、強烈な反感を示しているということである。ここ何週間にもわたって、毎週金曜日になると、数万人時には十万人を超える人々が首相官邸付近で戦争法の審議に対する反対を叫んでいる。日本全国では百万人を超える人々がともに行動し、近年まれに見る反戦運動が展開されている。
日本の国会で「安全保障関連法案」の合憲性が問われた際には、自民党が招いた憲法学者を含むすべての専門家が、違憲であるとの判断を示した。最高裁判所元長官の山口繁氏や歴代の法制局長官ら(安倍首相が任命した現職を除く)、日本弁護士連合会元会長などは皆、安倍内閣が審議している法案が憲法に違反しているとの認識を示した。
戦後70年の今日、日本の民衆や法律分野の専門家や学者、法律解釈が仕事である判事や弁護士は皆、戦争問題に対する立場を変えてはいない。安倍首相は2013年に英紙「フィナンシャル・タイムズ」に「軍国主義者」と呼ばれた。人々は当時、それは言い過ぎだと思ったものだが、今から考えれば同紙の判断には大きな間違いはなかったのではないかと言わざるを得ない。
中国軍の大規模人員削減