福島の原発事故を受け、日本はすべての原子炉の運転を停止していた。だがこの「ゼロ原発」状態は1年11カ月しか続かず、日本では原発の再稼働が始まっている。傷が癒えていないうちからその痛みを忘れてしまったということか。
今回再稼働されたのは、鹿児島県薩摩川内市の川内原発1号機である。だが原発を再稼働した地方自治体には潤沢な財政資金を提供し、原発を停止したままの自治体には財政支出を減らすという安倍政権の誘導政策から考えれば、今後はさらに多くの原発が再稼働されると予想できる。
原発の利用自体には良いも悪いもない。だがわずか37万平方キロメートルの国土面積に54基の原子炉が設けられ、国土全体にこれが散りばめられているということが問題なのである。日本はさらに、地質学的活動が活発な地域である。これほど多くの原子炉を抱えているということは、国民の傍に50発以上の核弾頭を置いているようなもので、これがいつ起爆するかは誰にもわからない。原子爆弾の苦しみを受けた日本は、核の脅威に切実な認識を持っている。政府や一部企業の勝手な振る舞いが現地住民の反対を受けるのは当然のように見える。