日本の原発の多くは大都市から離れた貧しい県に置かれている。例えば15基の原発がある福井県は、昔から交通が不便で、自然災害も重なり、貧しい県の代名詞となってきた。日本の原発企業は一連の「誘致活動」(経済的補償を含んだ誘導活動)を通じて、建設補償金を手段として現地の庶民に土地を出させ、地方自治体には高額の補償金と電力費の優遇を与え、原発建設に同意するよう地方自治体に促してきた。地方財政が一旦、補償金に依存し始めると、より多くの原発プロジェクトを認可して財政を充実させる必要が出てくる。さらに一部の教育・研究機関や公共団体、メディアも現地に原子力懇談会を設け、原発の開発と利用の知識を現地の人々に教え込み、人々の警戒を解く試みをしている。例え現地に原発反対の声があっても、始まってしまった原発建設はやめようと思ってもできない。
日本では、原発の過度な建設は変えようもない事実となっている。だが1990年代以降は、度重なる原発の安全事故によって、日本国民は警戒と反省を始めていた。とりわけ福島の放射能漏れ事故の後は、地震や津波などの自然災害の頻発する日本にとっては、原発の発展は賢い選択ではないということが明らかになっている。