9月17日の参議院平和安全法制特別委員会でヤクザまがいの大立ち回りが演じられると、メディアは安保関連法案の強行採決を目指し暴走してきた「衝動的な安倍首相」が、平然としていられることに驚かされた。安倍首相は近くで冷たい目で眺め、口元には冷笑を浮かべた。説得することも制止することもなく、静かにその場を後にした。
国会内だけではなく、国会議事堂の外でも毎日数万人の市民が「アベは辞めろ」、「アベは悪どい嘘つき」と、天を貫くほど大きな声をあげている。安倍首相はこれを見て見ぬふりし、いつもどおり食っては寝て、少しもプレッシャーを感じていないようだ。
日本初の戦後生まれの首相である安倍首相は、強い「政治的信念」を持つ。安倍首相は自著『美しい国へ』の中で、自分の政治的理想を次のように説明している。日本はすべての手を尽くし地域・世界の強国の地位を維持し、今後50−100年の荒波に耐えなければならない。この目標を実現するため、「日本大国化戦略」を推進し、日本の「正常化」と「軍事力強化」を実現する。安倍首相にとって、「歴史の荷物」を捨て去り、戦後の平和憲法の多くの規制を解除することが、上述した目標の前提条件だ。「政治的信念」があれば、その「信念」のために身を粉にして働く。これは安倍首相にとって、非常に体裁の良いことだ。
安倍首相が落ち着いていられるのは、強い連立与党のためだ。自公両党は衆議院の3分の2以上、参議院の過半数の議席を確保している。言うならば、日本の国会は連立与党の「投票マシーン」にすぎない。ゆえに参議院で大騒動が生じても、国会が存在し続ければ、安倍首相は安保関連法案の成立を懸念しない。しかし与党内には大きな亀裂が生じ始めている。公明党の最大の支持母体は創価学会だが、多くの会員が抗議に加わっている。彼らはメディアに声明を発表し、平和を主旨とする公明党が安倍首相に追随し続ければ、迷うことなく公明党を見限ると表明した。
一枚岩に見える自民党は、安倍首相に落ち着きを与えている。党内の7大派閥が9月8日に安倍首相を支持し、唯一出馬を表明していた自民党元総務会長の野田聖子氏が党内の20人の推薦を集められず、断念せざるを得なくなった。安倍首相は「無投票当選」という形式により、自民党総裁に再選した。この威風堂々たる当選の形式は、安倍首相の自信を強め、増長させた。しかし最大の権力を持つ総裁は、最大の責任を負わなければならない。最近の状況を見ると、国会で「集団乱闘」に参加した自民党議員は少なくないが、公然と安倍首相を支持する声はほとんど聞かれていない。安倍首相は自民党のその他の議員の盾という役割を演じた。民意の収拾がつかなくなれば、自民党は最終的に銃弾で穴だらけになった「アベノ死体」を放り出すことになるだろう。
これらのことを少しでも考えれば、安倍首相も落ち着いてはいられなくなるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月21日