日本の財務省が発表したデータによると、日本の負債総額の対GDP比は200%を超え、現在も上昇を続けている。米国の同比率は約98%。債務危機が発生し、国家財政が破綻しているギリシャやポルトガルも、159%と110%ほどに留まっている。
多くの専門家と学者は、日本の債務問題を楽観視している。これには次の理由がある。(1)力強い輸出産業、多くの貿易黒字により、日本は資本純輸入国になっている。(2)国民が貯蓄を好み、高い貯蓄率で推移している。(3)国を愛する日本人は国内の投資と消費を好む。日本国債の9割以上が国内で購入されており、国内の負債を国内で解消できる。
この観点は、本質を捉えていない。世界経済の成長が低迷し、日本の高齢化や貯蓄率の低下といった問題が深刻化している。さらに安倍首相の過激な経済政策により、日本の深刻な債務が非常に危険な水準となっている。
(一)日本は巨額の貿易赤字を計上しており、債務の支柱に亀裂が生じている。
製造業の輸出大国である日本は、巨額の貿易黒字により大量の債券を発行できた。しかしこの状況には、2011年に逆転が生じた。この年には、1980年ぶりの貿易赤字(通年)が生じた。
(二)日本国内の資金は、国債に「輸血」できなくなった。
日本政府が発行する国債の9割以上が国内で購入されているが、大量の日本国債を購入し続けることは困難になっている。
まずは日本の高い貯蓄率を維持できない。日本の貯蓄率は毎年低下しており、13.9%から2%前後に低下した。また高齢化が深刻になり、日本国債の最大の保有者である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国債を購入するのではなく売却することで、日増しに増加する年金の需要を満たそうとしている。
(三)安倍政権は過激な金融政策により経済を刺激し、日本の債務危機を深淵に突き落とそうとしている。
国際社会は日本をよく、「一流の労働力、二流の銀行、三流の政治家」と嘲笑する。安倍首相は2012年に再任を果たすと、20数年間に渡るデフレ問題を解消するため、紙幣大量印刷という手段によりデフレを物価上昇に変え、円安を誘導することで経済を刺激しようとした。安倍首相はデフレの解消と経済成長により、政権運営の基盤を固め、長期運営しようとした。そこで中央銀行に圧力をかけ、「大胆な金融政策の推進」を要請した。日銀の黒田東彦総裁は躊躇したが、圧力を受け印刷機を動かし、狂気じみた量的緩和策(QE)に踏み切らざるを得なかった。