日本の量的緩和策を狂気じみていると形容する理由はこうだ。米国も量的緩和策を実施しているが、かつての毎月850億ドル(現在は650億ドル)という債券買い入れ額は、GDPの0.6%も占めていなかった。しかし経済力で米国に大きく劣る日本の債券買い入れ額は、GDPの1.4%を占め、米国の2倍以上となっている。
しかも米国は圧倒的な軍事・経済力を背景に、量的緩和策を力強く推進している。平和な世界はドルを必要とし、動乱の世界であればさらにドルを必要とする。そのためドル相場は堅調で、米国も大胆に量的緩和策に取り組み、誰も米国債を購入しないと懸念する必要はなかった。
軍事・経済力で米国と肩を並べることのできない日本は、米国を上回る規模の量的緩和策を実施し、1年余りの期間内にドルに対して約20%の円安を誘導した。大幅な円安は、市場の円と日本国債に対する信頼を損ねた。日本国債の9割以上を保有する、日本国内の機関投資家と国民は国債を手放し、海外市場に転向している。
投げ売りされた日本国債が投資家を引きつけるためには、利回りを高めるしかない。10年物の利回りが2%に引き上げられれば、日本政府はすべての財政収入を利息の支払いに充てなければならず、日本の債務危機が発生する。
またこの措置は、金融機関の危機を引き起こす。約8割の日本国債は日本の銀行によって保有されている。日銀は、国債の利回りが1%上昇すれば、日本の銀行業には6兆7000億円の欠損が生じると警鐘を鳴らしていた。日本の銀行に深刻な欠損が生じ、破産に追い込まれた場合、日本版金融危機が発生し、世界に影響を及ぼす可能性もある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月10日