今年は抗日戦争勝利70周年、世界反ファシズム戦争勝利70周年の重要な年だ。この70年間に渡り、中日関係は敵視、国交正常化、友好交流、深刻な対立という時期を迎えた。中日関係は現在やや改善されているが、その発展を制約する数多くの要素が取り除かれていない。中日関係は今後長い期間に渡り、対立、改善、また対立という新たな常態を迎える。(文=徐啓新・中国中日関係歴史学会副会長)
(一)昨年からの関係改善は脆弱
習近平国家主席は2014年11月、北京で安倍首相と会談した。これは中日が4つの原則的な共通認識を形成してから実現した、初の首脳会談だった。中日の釣魚島(日本名・尖閣諸島)などの問題が局地的な対抗の状態に入り、この流れを放任すれば全面的な対抗に向かおうとしている。これは両国関係に質的変化が生じ、敵でも友でもない関係から敵国関係に変わり、両国の戦争の危険性を生むことを意味する。この状況下、呼びかけに応じ安倍首相と会談した習主席は、大国の指導者としての崇高な気風、大局を重視した胸襟の広い外交方針を示した。
しかし今年に入ってから、安倍内閣は日米軍事同盟を強化し、侵略をあいまいにする戦後70年談話を発表し、集団的自衛権の行使を拡大する安保関連法案を成立させ、改善されたばかりの中日関係に暗い影を落とした。
安倍首相が8月15日に発表した戦後70年談話は、侵略、植民地支配、お詫びなどの言葉を盛り込んだが、日本の行為と直接結びつけておらず、あいまいな表現となった。これは日本の戦時中の行為が侵略と植民地支配であったことを直接表現した村山談話から大きく後退した。
参議院では今年9月19日に安保関連法案が強行採決された。この再び日本に戦争の道を歩ませる可能性のある法案は、日本国民から強く反対された。100万人以上の市民が日本全国で大規模な抗議活動を実施した。しかしながら安倍内閣は国会の多数の議席により強行採決し、違憲の先例を作った。