岡山大大学院の津田敏秀教授(生命環境学)が、6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に、衝撃的な論文を掲載した。福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺がんの発生率がなんと国内平均の20−50倍に達していたというのだ。日刊ゲンダイが10月11日に伝えた。
福島県で原発事故と子どもの甲状腺がんの因果関係を指摘する声は多いが、権威ある医学専門誌に津田教授の論文が掲載された意味は重い。国際的な専門家も事態を深刻に受け止めた証しだからだ。
8日、都内の外国特派員協会で会見した津田教授は、論文の詳細な説明を行った。原発事故から2014年末までに県が調査した約35万人を分析した結果、二本松市、本宮市、三春町、大玉村の「福島中通り中部」で、甲状腺がんの発生率が国内平均と比較して50倍に達したほか、「郡山市」で39津田教授は、86年のチェルノブイリ原発事故では5−6年後から甲状腺がんの患者数が増えたことや、WHO(世界保健機関)が2013年にまとめた福島のがん発生予測をすでに上回っているとして、今後、患者数が爆発的に増える可能性を示唆した。
津田教授はその上で、「チェルノブイリ原発事故の経験が生かされなかった」「事故直後に安定ヨウ素剤を飲ませておけば、これから起きる発生は半分くらいに防げた」と指摘し、当時の政府・自治体の対応を批判した。チェルノブイリ事故と比べて放射性物質の放出量が「10分の1」と公表されたことについても疑問視した。
原発事故と甲状腺がんの因果関係は不明とトボケ続けている、政府と福島県の責任は重い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年10月13日