国連総会第一委員会は11月3日、日本から提出された核兵器廃絶決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」を審議した。中国は反対票を投じ、米国は棄権票を投じた。中国の反対は日本の予想通りだったかもしれないが、「アニキ」として長年に渡り日本の提案を支持してきた米国が今年になり棄権票を投じたことは、日本を仰天させた。
日本は「核被害国」、「核保有国と非保有国の架け橋」を自称してきた。広島出身の岸田文雄外相は、日本の「核被害国」の地位の宣伝に全力を尽くしている。岸田外相の働きかけを受け、100以上の国およびEUの代表者が、広島原爆投下70周年祈念式典に出席した。
今回の国連総会で、日本は初めて「Hibakusha(被爆者)」との表現を用い、各国の首脳と若者を「被爆地」に招待するといった内容を提案に盛り込んだ。米国は棄権票を投じ、日本を失望させた。日本メディアは、「核兵器のない世界」を目指すオバマ大統領は2009年以降、初めて日本の提案に賛成しなかったと伝えた。
米国が棄権票を投じたのは、日本に遠慮したと言える。2016年の主要7カ国(G7)首脳会議は日本で開かれる。日本は広島を開催地として提案したが、米国は直ちに明確に反対を表明した。米国が今回棄権したのは、G7首脳会議の開催地に反対した理由と同じだ。米国の首脳は、原爆が投下された場所に行きたくないのだ。広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之副理事長も、これに理解を示している。
日本は毎年、広島と長崎で祈念式典を開いている。米国の大統領と国務長官はこれらの式典に参列したことがない。原爆を投下した米国に首脳を参列させれば、嫌な思いをさせるのではないか。日本は少しでも考えれば、すぐに理解できるだろう。