日米両国は3日、両政府中枢で構成する新機関「同盟調整グループ」を設置した。一部メディアはその裏の意図について、実際の運用の面で2016年3月末までに発効する安保関連法案の実効性を確保するためと分析した。安保関連法案の成立後、日本の軍事活動範囲は拡大を続けるはずだ。しかし筆者は、その重点は依然として東中国海に置かれると考えている。日本は釣魚島(日本名・尖閣諸島)および付近の海域を巡航する中国公船に対する抑止力を強化しようとしている。
日本の安保関連法案の成立後、中日の東中国海の争いが日増しに激化している。ゆえに危機管理の必要性が高まっている。安保関連法案の国会成立後、集団的自衛権の行使が容認されたため、安倍首相は釣魚島の対策についても調整を行うことになるだろう。
まず、武力使用の手続きの簡略化だ。安保関連法案の成立後、日本の釣魚島周辺海域の「領海警備」は理論上、海上保安庁のみが担当するとは限らない。不測の事態が生じた場合、首相の一声があれば、海上自衛隊と航空自衛隊を即座に戦闘に投入できる。自衛隊の武器使用は、海上保安庁が支援を求め、国会で審議するというかつての複雑な手順を踏まえず、大幅に簡略化される。攻撃するか否かは、首相の判断にかかっている。
次に、米日が共同対処する可能性が高くなる。日本は釣魚島の主権を巡る係争で中国と衝突した場合も、米軍を後ろ盾にしようとするはずだ。これは米海軍が世界一の実力を持ち、米軍の艦艇や軍機が出動すれば、威嚇のみで問題を解決できるからだ。また自衛隊は米軍と離島奪還合同作戦の計画を事前に策定し、頻繁に訓練を行っている。
それから、「グレーゾーン」の駆け引きが増える。日本のいわゆる「グレーゾーン事態」とは、中国公船の釣魚島海域の常態化巡航を指している。安保関連法案の成立後、日本はこの難題を解消しようと頭を悩ますはずだ。筆者は、次の2つの可能性があると考えている。(1)偶発的もしくは突発的な海の不測の事態を利用し、武力もしくは強硬な手段により中国公船の常態化巡航を阻止する。(2)故意に問題をこしらえ、これを利用する。例えば日本の公務員に上陸させたり、過去のように右翼団体に釣魚島付近で釣り・測量・上陸活動を実施させる。中国が対策を講じた場合、これを口実に中国公船の常態化巡航を阻止する。
安倍政権が実施する可能性のある、上述した3つの政策の調整について、我々は警戒を強め、事態を未然に防ぐ必要がある。(筆者:郁志栄 上海日本研究交流センター研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年11月6日