日本の安来市(島根県)にある生和勉氏の金属加工工場は、700マイル離れた中国経済の繁栄に小さな貢献を果たしてきた。生和氏とその14人の従業員が精密加工した多くの歯車や軸受、その他の部品は最終的に、中国の工事現場で稼働するブルドーザーに使われ、中国の建設速度を後押ししている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えた。
だが中国経済の成長速度が鈍化したことで、生和氏の業務と日本経済はともに低迷に陥っている。日本のクボタや日立建機が中国に輸出する油圧ショベルやブルドーザーなどの設備は減少している。そのためこれらの企業が生和氏の加工工場から購入する部品も減少している。生和氏によると、建築分野の受注は今年、40%減少したという。
中国経済の成長鈍化は全世界に影響を与えている。オーストラリアやブラジル、エクアドルなどの石油や鉄鉱石、その他の産品に対する需要は減少している。中国の投資に頼る発展途上のエコノミーも脆弱化している。日本やドイツなどの国は、高層ビルを建設するための多くの機器を中国に提供し、中国の工場の設備を提供してきた。これらの国で影響を受けているのは製造業である。
中国経済はそれほど大きな損害を受けているとは言えない。第3四半期の成長率は6.9%に達し、先進国の基準から言えばうらやむべき数字とも言える。だが日本の生産設備を積極的に購入してきた産業、製造業や建築業、鉱山業などは、経済全体で見るよりも大きな損害を受けている。