お葬式の話からスタートしたこの欄ですが、お葬式に関連する話はほかにも盛りだくさん。
第二話:白地に「寿」は?
「日本人の結婚式に出たらびっくり!白地に寿って書いてあるんだ!」
「当然じゃないの」
「白地に寿は葬式だろ!寿は寿命の寿さ」
「日本では白地に寿と言えば結婚式よ」
「中国では、“寿店”と言えば葬儀屋さ。“寿衣”と言ったらなんだと思う?」
「ウエディングドレス、じゃあないのね。“寿店”が葬儀屋なら、死人に着せる経帷子?」
「うん、死人に着せる服さ。大体、白地に黒で字を書いたら葬式なんだ」
「じゃあ、おめでたい時はどうするの?」
「赤字に黒か黄色か金色で書く。スーパーに行ってごらんよ。お店の宣伝文句はみんな赤字に金色か、白地だったら赤字で書いてある」
「よく会社に中国からお客さんが来て歓迎会をするけど、確かいつも白地に“熱烈歓迎”って書いて貼っていたみたい」
「それってまずいよ。まるで“冥土へようこそ!”だ」
「うわーっ、とんでもないわね」
「そうさ。あの四川大地震の時、人民日報の題字が数日間、赤から黒に替わったくらいだ。
色って中国人にはとても大事なんだよ」
「でも、この間、中国人の結婚式を見たら、白いウエディングドレスを着ていたわよ」
「これは別みたいだね。外国文化に対する憧れなんだろうね」
「何で中国人はそんなに赤が好きなの?」
「赤には古来、魔よけの意味があるんだ。周代の宮殿の柱は赤く塗られていたそうだよ」
「日本の平安神宮の柱も赤いわ」
「古代の小説には、いくら切っても傷口がふさがってしまう木があったので、人々に赤い服を着せて赤い粉をかけながら切ったら、やっと切り倒せた、なんて話もあるんだ」
「じゃあ、あたしもストーカー対策に赤い服を着ようかしら」
「???」
中国から娘の神前結婚に来日したご両親、白地に寿に加えて、白い紙が下がっているしめ縄をみてびっくり。中国では、これに似たものをお墓にする地方もあるのです。これではめでたい気分になれないのも無理はありません。