日本での数日間の滞在で、中国人観光客の多くが、日本のサービスが本当に評価に値するということを感じるであろう。どこで買い物をしても、実際に購入するしないにかかわらず、常に笑顔での接客を受けられる。偶然入った小さなレストランでも、衛生面、サービス面に料理などいずれも期待を裏切らない水準だ。つまり、日本式のサービスは我々を非常に快適にさせてくれる。
これはどうしてだろうか?ある人は、もともと細かい心くばりが身についている、人に対しての思いやりから生まれたものだと言うが、私の意見では、この質問への答えの核となるキーワードは“標準化”であろう。
標準化とは何か?それはサービスが標準に従っていくつかのステップに分かれ、それぞれの動きに一定の標準が決められており、スタッフには決められた標準に沿って厳格な動きが求められるのである。日本のサービス業にはどこでも細かく決められたマニュアルがあり、小さなコンビニのレジ係であったとしても詳細に決められたガイドラインを守るのである。
では、レジでの精算というささいな行為でも、マニュアルは細かいステップに分かれており、各ステップには厳格なサービス標準が決められているのである。 レジでの接客に関する5つのステップ: 1.最初のステップは、来店客がレジに来たら、まず軽くお辞儀してあいさつする 2.第二のステップとして、商品のバーコードをスキャンしながら実際に一品ずつ声に出して値段をよみあげる(中国国内では想像を絶することだが)。 3.第三のステップは、客に合計金額を告げ、いくら受取りお釣りがいくらかを告げる。 4.第四のステップでは、レジ袋が必要かどうか、もし弁当の買い物なら、商品を熱めるか、箸は必要か、スプーンは有るかなど確認する。 5.そして第五のステップでは、感謝の気持ちで、 “またお越しくださいませ”と笑顔で頭を下げる。
上記のような接客ステップはレジでの大まかな流れである。ただ、他にもまだ多くの詳細な“標準”があるのだ。他の例として、お釣りを渡すときには大きな額面の紙幣から渡し、続いて細かい小銭を渡すこと。さらに、汚れたお札でも受け取り、それを次の客のお釣りなどにはしないことなど。“きめ細やかな”サービスはもともとあったものではなく、厳格なマニュアルの標準が作り上げてきたものだろう。ただ恐ろしいことに、これは日本のどこでもみられることで、どんな規模の店でも同じなのである。注目すべきところは、これらの“きめ細やかさ”は、すぐにできることではなく、少しずつ長い時間をかけて改善され、浸透してきた習慣なのだ。
日本では、それを“改善”の文化といい、日本といえば“改善”というほどである。どこが悪かったか?どこに改善の余地があるのか?など、このようなサービスの向上に関する改善に終わりはないのである。この“改善”の文化は、日本の製造業(ものづくり)の卓越した技術にも大きく貢献している。この点に関しては世界中どこを探しても日本人の右に出るものはいないであろう。 中国はここ数十年で急速な発展を遂げ、表面上日本とあまり差のないところまできたが、サービスに関しては日本との差は大きい。きめ細かく厳しいプロフェッショナルなサービス標準を日本から学ぶべきであろう。ただ客観的に言えば、現在の中日間の差は、もともと国が発展する段階が異なり、文化的特性や民族性など、様々な事柄に起因しているのも事実で、我々は今後中国の将来に自信を持つべきである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月13日