日本の南京大虐殺問題を研究する専門家、都留文科大学名誉教授の笠原十九司氏はこのほど新華社の独占インタビューに応じ、『南京大虐殺文書』の世界記憶遺産登録は人類の負の歴史を保存・銘記する上で積極的な意義を持つと認め、南京に行き生存者の証言に耳を傾けるよう日本の南京大虐殺否定論者に呼びかけた。
笠原氏は、「南京大虐殺は人類の負の歴史として、日本人に忘れられるべきではなく、全世界に銘記されるべきだ。負の史料を保存するのは、後世の人々に過去の過ちを繰り返させないためだ。南京大虐殺文書の世界記憶遺産登録は、全人類が犯した歴史の過ち、戦争の罪を理解する上で非常に重要だ」と指摘した。
中国の南京大虐殺文書がユネスコの世界記憶遺産に登録されると、日本政府は直ちに抗議した。日本の自由民主党、外交部会、文部科学省などは決議を通じ、ユネスコに登録を撤回するよう求め、かつユネスコへの負担金を減額もしくは停止すると脅迫した。日本の学会における多くの学者は、このやり方を歯牙にもかけていない。笠原氏は、「これは全世界に対して、日本政府全体が南京大虐殺を否定していると宣言するようなもので、非常に嘆かわしい。安倍政権は教科書に小細工するばかりか、日本が大虐殺をしていないと全世界に宣伝しようとしている」と述べた。
笠原氏によると、自民党国際情報検討委員会委員長、衆議院議員の原田義昭氏は中国が登録申請した資料を読みもせず、南京大虐殺の世界記憶遺産登録にむやみに反対している。このような人物は、安倍政権内では大多数を占めている。笠原氏は安倍首相を始めとする自民党の幹部に対して、まず世界記憶遺産に登録された南京大虐殺文書を閲覧するよう提案した。また南京大虐殺の否定論者に対しては、南京を訪問し生存者の歴史の証言に耳を傾けるよう呼びかけた。
否定派は大虐殺に関する証拠が「伝聞」もしくは間接的な写真に過ぎず、虐殺の現場に関する証拠がないと主張している。笠原氏は、「日本軍の占領区で虐殺発生の瞬間を撮影しようとしてもほぼ不可能だ。否定派の論拠は明らかに脆弱だ。日本兵が当時撮影した、中国の非戦闘員を斬殺し、女性を強姦した写真、それから元日本兵の戦後の証言は、虐殺が確かにあったことを証明している」と指摘した。
笠原氏は、「南京大虐殺は多くの罪なき一般人に大きな傷をもたらした。これは殺す、殺されるだけではなく、多くの罪なき市民の生活を破壊し、彼らが手にするべきだった人生を奪った。南京大虐殺を忘れるべきではない。日本政府が南京大虐殺で犯した間違いを認め、中国との対話を推進し、悲劇を再演させないことを願う」と主張した。
笠原氏は最後に、「日本が南京大虐殺の事実を率直に認め、南京大虐殺記念活動に首脳が出席すれば、日中関係は必ず改善されるだろう」と強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月14日