中国の多くの1970年代生まれの人にとって、東芝のテレビCMは子供の頃の思い出の一つだ。あのモノが不足していた時代、高品質の東芝の家電は、多くの中国人の暮らしのステータスになっていた。しかし風向きは常に変わるものだ。この「メイド・イン・ジャパン」を代表する企業は、今や先行きが不透明になっており、倒産の岐路に立たされているほどだ。
東芝の苦境は、欠損を見れば分かる。東芝は2015年度(2016年3月まで)に、5500億円(約45億ドル)の巨額の赤字を計上する見通しだ。東芝は経営を維持するため、解体による再建を目指し、業績不振の家電事業と本社の従業員を大幅にカットする。これに削減済みの半導体部門を加えると、1万600人の従業員(全従業員の4分の1)をリストラすることになる。
終身雇用制の日本人にとって、これは紛れもなく苦しい時期だ。彼らはこの超巨大企業が、この悲惨な境地に陥るとは思いもしなかった。日立、パナソニック、ソニーと異なり、東芝は140年の歴史を持つ日本の老舗家電企業だ。日本初の電球、洗濯機、冷蔵庫は、すべて東芝の工場で誕生した。
だが、成功することもあれば、失敗することもある。当時東芝に栄光と利益をもたらした家電は近年、同社の最大の重荷になっている。東芝の家電は2012年より利益を産まなくなり、その後はさらに頻繁に巨額の赤字を計上し、同社の発展の足を引く「死に体の部門」になった。
東芝の問題は、日本の家電業界全体の縮図だ。業界の先行きが不透明になり、中韓メーカーからの挟み撃ちを受け、かつて覇を唱えた日本の家電事業は、すでに力強い勢いを失っている。日立は2008年に、当時の日本企業としては最大の7873億円の赤字を計上した。この苦境を脱するため、日立は直ちに生産能力の縮小に着手し、膿を出すようにして赤字の家電事業を切り離した。