安倍晋三首相は2012年12月に再任を果たしてから、日露関係の改善に積極的に取り組んできた。安倍首相は2013年4月に、日本の首相としては10年ぶりに訪露した。訪問を通じ、日露は40数年間棚上げにされていた平和条約の交渉を再開し、領土問題について協議することを決定した。この訪問は両国の「雪解け」の旅とする見方もあった。
その後、日露の外相・防衛相会談も順調に行われた。1年余りの間に、両国の首脳は5回会談し、プーチン大統領が2014年11月に訪日することが決まった。こうして両国関係は急速に親密になった。
日本がロシアに自ら友好的な姿勢を示したのは、先送りにされてきた平和条約を締結し、日露の領土問題を解決しようとしたためだ。次に、日本はロシアの力を借り、中国をけん制できる。それから、極東の豊富な資源は、エネルギー輸入大国の日本にとって非常に魅力的だ。ロシアは極東開発計画を打ち出し、日本も利益を得ようとした。
しかしながらウクライナ危機の勃発後、日本は2014年の1年間に渡り、米国に何度も追随し対露制裁を行った。こうして日露関係はぎくしゃくした。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターの専門家のパブリャチェンコ氏は、「日本政府は対露制裁問題で米国に迎合し、政治の脆弱性を示した。安倍首相の政治家としての弱気な性格が浮き彫りになった」と述べた。
メドベージェフ首相は2015年8月22日、露日の係争中の南クリル諸島(日本名・北方四島)を視察した。メドベージェフ氏が首脳として南クリル諸島に上陸するのは、これが3回目となった。
メドベージェフ首相の上陸は、日本の強い反発を招いた。日本側は在日ロシア連邦大使館を通じ、ロシア外務省に正式に抗議した。日本側は、メドベージェフ首相の上陸は遺憾であるとし、この行動が「日本の国民感情を損ねた」とした。
ロシアは日本の抗議に対して、弱みを見せなかった。ロシア外務省は声明の中で、「南クリル諸島がロシア領であることは紛れもない事実であり、政府首脳の業務計画を決定する際に外部の提案を受けることはない。ロシアの首脳は今後もこの土地の視察を続けるだろう」とした。
日本政府はプーチン大統領の訪日を早期実現し、日露関係を改善するため、調整を加速している。日本政府は先月22日、対露外交を担当するポストを設け、原田親仁駐ロシア大使を充てる人事を発表した。このポストは珍しい「準閣僚級」で、ロシア高官との協議を担当する。日本政府はこれにより、交渉の気運を高めようとしている。しかしロシアにはこれに相当するポストがなく、十分な効果を発揮するかは未知数だと指摘する声もある。
安倍首相は今春、ロシアの地方都市を非公式訪問することで、自らプーチン大統領の訪日に向け条件を整えようとしている。安倍首相が訪露に意欲的なのは、プーチン大統領との対話により信頼関係を構築し、領土問題の解決に向けロシアに決断を迫る狙いがあるからだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月3日