安倍内閣の重鎮、甘利明前経済財政・再生相の金銭授受問題による辞任にも関わらず、安倍内閣の支持率は堅調だ。日本メディアが伝えた。
野党と市場関係者はその主因を、「甘利氏の電撃辞任」としている。自民党中堅議員は、「首相は盟友の甘利氏を続投させるとの予想に反し、早期の事態収拾を図り、傷口が小さくてすんだ」と話す。また「追及前に甘利氏が辞めたので野党が出番を失った」との声もある。
その他の政治要因も安倍政権の失点を防ぐ方向に働いた。年明けから続いた株価の大幅な下落も、アベノミクスへの不信よりも、むしろ中国の景気不安や原油価格の急落など海外発の要因に目が向いた。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「甘利氏辞任の翌日となる29日に、タイミングよく日銀がマイナス金利を導入し円安・株高が進んだのも大きい」と分析した。上野氏は「必ずしもアベノミクスが再評価されたわけではない」とするが、市場からは「政府と日銀が一体となってデフレ脱却をめざしていると強く印象づけた」と歓迎の声も多い。
昨年末の従軍慰安婦問題を巡る日本、韓国両政府の合意への評価があるいう声もある。東京大学の前田幸男准教授、「日韓合意で支持率が上昇基調にあったところに、甘利氏の問題があり打ち消しあった側面もあるのではないか」と指摘した。
安倍政権の支持率が過去に急落したこともある。2015年7月に安保関連法案の国会審議が大詰めを迎えたときには、支持率が9ポイントも低下した。2014年10月に小渕優子元経済産業相と松島みどり元法相が辞任した後の調査では、2カ月前の内閣改造時に60%だった支持率から12ポイント低下した。
それでも常に安倍内閣の支持率が一定の水準以上を推移するのは、野党の低迷が「岩盤」となっているとの見方は多い。野党第1党の民主党の支持率は1ケタ台が続き、40%と高水準にある無党派層を取り込めていない。この状況からは、安倍政権自体を積極的に支持するわけではないが、消極的支持に回っている有権者の考えを読み取ることができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月4日