日本の瀬戸内海は今年、G7香川・高松情報通信大臣会合など多くの国際行事が行われるため世界から注目を集めている。瀬戸内海は波が穏やかで島が密集し、多くの島に漁業体験ができる民宿がある。オンシーズンになると予約を取るのが難しいため、記者はシーズン前に瀬戸内海に浮かぶ豊島を訪れ、日本の「漁業体験」の行き届いたサービスを体験した。そこで記者は、中国人に対する情熱と思いやりを感じた。
豊島はうどんで有名な香川県に属し、人口は約800人、漁業体験ができることで人気がある。船が港に着くと、出迎えに来ていた民宿の主人たちが見えた。記者は老人の案内で港から徒歩5分程の場所にある民宿「角石」に着いた。「角石」は経営者の苗字である。建物は日本風の木造建築で、外壁は炭化木が使われており独特の色をしている。
主人は85歳になるが今も漁をし、体が非常に丈夫である。82歳の女将さんは笑顔が印象的で優しく親しみやすく、慌ただしく宿泊客をもてなしている。部屋の壁を見ると、1面に中国の赤い切り絵、その向かいに中国結びが飾ってある。女将さんによると、これらは中国人が来ると知り、親しみやすさを感じてもらうために飾ったものだという。
荷物を置くと、記者は角石さん夫婦に自家菜園に案内された。そこでは菜の花を摘んだり、採れたばかりの野菜を味見したり、ニンジンやミカンを収穫したりできる。また、少量であれば自分で収穫した野菜や果物を持ち帰ることもできる。事前に連絡しておけば、角石さんに漁に連れて行ってもらい、そのコツを学ぶことも可能だ。夕食は、女将さんと他の民宿の女将さんが一緒に作った新鮮な刺身や天ぷらなどがテーブルいっぱいに並べられた。角石さんが獲ってきた魚は味噌汁に使われ、実に美味しかった。これらは漁業体験でしか味わえない素晴らしい夕食である。食事の途中にも女将さんが次々と料理を出してくれた。
民宿は単独の建物で、角石さん夫婦は近くに家があるため、客はのんびりと静かな時間を楽しむことができる。古風で趣のある畳が敷かれ、きれいなタオル、歯磨きセット、洗面用具が用意されている。風呂は浴槽に浸かることができ、布団も気持ちがよく、洗ってあるだけでなく除湿乾燥もされているため触り心地は最高だ。豊島の民宿では、常に日本式サービスのきめ細かさと温かみを感じた。主人と女将さんはその場にいないが、いたるところに努力が見られる。早朝、女将さんは客を起こさないように静かに温かいお茶、果物、餅を用意していた。
角石さん夫婦はもともと漁民だった。6年前に島で国際芸術祭があり、観光客が増えるため、宿泊地不足を解消するために政府は使用されていない建物を民宿に改装する手当を住民に支給した。角石さん夫婦もこうして民宿を始めた。
赤い切り絵と中国結びは、少し前に泊まりに来た中国の高校生から贈られたものである。その時、女将さんは子どもたちと会話し、農業を体験し、一緒に食事を作り、非常に楽しいひとときを過ごした。子どもたちが別れ際に抱擁し涙を流したことを思い出すと、女将さんは今でも目に涙を浮かべる。記者は1泊しただけだが、女将さんは泊まりに来た中国の子どもたちの話を何度もし、その度に目を赤くした。そのような思いに記者は深い印象を覚えた。
翌日、記者は角石さん夫婦と別れた。船が遠ざかっても角石さん夫婦は岸で手を振って見送ってくれ、その姿に胸が熱くなった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月11日