日本の与党・自民党はこのほど、再び東中国海問題を巡り動きを活発化させている。自民党議員は安倍政権に対して、中国との東中国海の係争を国際仲裁により処理するよう呼びかけている。
中国が東中国海の油ガス田を開発していると、日本が悪意をもって批判するのは初めてのことではない。日本の安倍晋三首相は昨年7月の参議院特別委員会で、「2008年の(日中の)コンセンサスは順守されていない」と発言し、中国は日本と「共同開発」していないと述べた。昨年の防衛白書も自民党の意向を受け、「中国による東中国海の油ガス開発活動に抗議し、停止を要求する」という内容を追加した。
国際仲裁という手段を東中国海に適用する呼びかけは、日本側の新たな動きだ。この「革新」の裏側では、自民党内の保守派の思惑が渦巻いている。
(一)フィリピンが強硬推進する南中国海の仲裁を応援する。日本は中国がフィリピンによる一方的な国際仲裁の提案に反対していること、その裏側の理非曲直を理解しているが、言行では明らかにフィリピンに肩入れしている。日本の当局者は公の場で、「フィリピンが国際法によって、中国との南中国海における領土問題を、平和的に解決することを支持する」と繰り返し表明している。仲裁裁判所による結果発表が待たれるなか、日本は動きを活発化させている。日本は東ティモール大統領の訪日という機会を利用し、プレスリリースの中に南中国海問題とフィリピンによる南中国海問題の仲裁に関する内容を盛り込み、「裁定は係争国に対して拘束力を持つことに留意している」とした。日本は南中国海・東中国海問題の「連動」を実現し、南中国海情勢を乱すことで中国をけん制し、東中国海における野望を実現しようとしている。また南中国海で覇を唱えようとする米国に協力し、日米同盟関係を強化しようとしている。
(二)自民党の支持を集める。自民党は国会で主導権を握っているが、国民の意見を完全に無視することはできない。自民党は7月の参院選に向け準備を整えており、3分の2以上という圧倒的な議席数を目標としている。この目標を実現するためには、選挙前に有権者の心をつかまなければならない。しかし多くの日本人はアベノミクスに不満を抱いており、物議を醸している安保法が3月末に発効しようとしている。日本各地では、同法案に反対するデモ行進が実施された。東中国海の係争を誇張し、日本が「平和的」な手段により問題を解決することを強調すれば、自民党は国民の不満をそらすことができる。
(三)東中国海で中国の主権・権益を争奪する。中国はかつて日本側に友好的な姿勢を示し、中日間で境界線が定まっていない東中国海を、平和・協力・友好の海にするというコンセンサスを形成した。中国は、中日のコンセンサスは中国の東中国海における主権と管轄権を損ねてはならないと、何度も念を押している。中国の東中国海の境界線問題における法的立場と主張には変化がなく、日本側のいわゆる「中間線」の主張を認めていない。しかし日本は中国が春暁ガス田の完全なる主権・権利・管轄権を持つことを認めておらず、その「中間線」の原則を無理やり適用させようとしている。自民党が仲裁を提案したのは、フィリピンが仲裁により事を荒立てているのを目にし、これを模倣することで自国の利益にしようとしたためだ。
自民党は確かに苦心惨憺しているが、「一石三鳥」の効果は得難い。国際法は公平・公正を基礎としており、国際法の旗印を掲げて他国の主権・権益を損ねる行為は、必ず失敗する。中国は日本の東中国海におけるさまざまな小賢しい動きの狙いを見破っており、軽率に引っかかることはない。また日本人は日本が衝突に巻き込まれることを懸念しており、中国などの重要な隣国との関係悪化を望んでいない。(筆者:蘇暁暉 中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月21日