周知の通り、供給側改革の重要な手段は、産業構造の調整、過剰生産能力の解消だ。日本は90年代に経済のバブル崩壊を経験しているため、日本の金融業界は過剰生産能力の原因と解消に関する一定の経験を蓄積している。
中国発展ハイエンドフォーラム2016年年次総会において、野村ホールディングスの古賀信行社長は、日本の生産能力解消の手段について説明した。
日本の経済成長率は90年代に急激に低下したが、これはバブル崩壊の直接的な結果とされている。日本企業は当時、過剰生産能力、過剰債務、過剰雇用という問題に直面していた。日本政府は経済バブルの一連の影響を、経済の周期的な変化と単純に結論づけた。
古賀氏は、「そこで日本政府は一連の財政刺激策を打ち出し、経済を刺激しようとした。主に公共事業に巨額の投資を行い、建設工事を行った。また雇用を維持するため、日本政府は有名無実の企業を支援した。これらの企業は、いわゆるゾンビ企業だ」と述べた。
しかしこの一連の財政政策は、日本政府に大きな経済の圧力をもたらした。
古賀氏は、「日本は大きな犠牲を強いられた。このゾンビ企業の経営を有名無実のまま維持すれば、犠牲は非常に大きくなる。銀行の不良債権が膨らみ、多くのゾンビ企業が存在するため、健全な企業がこれらの企業との競争を強いられた。このような競争は不公平な競争であり、日本の産業全体の生産効率と経済全体が足を引っ張られた。日本は最終的に心を入れ替え、2001年になりようやくゾンビ企業の問題を積極的に直視するようになった」と述べた。日本政府の経済政策の重心も、財政刺激による景気回復から構造改革に移り変わり、金融再生計画を打ち出し、銀行の不良債権を処理した。また専門的な、産業再生機構を設立した。一定の経営資源を持つが、巨額の負債を抱える企業を支援し、再生の機会を与えた。
古賀氏はまた、日本の過剰生産能力の処理に関する、3つの経験と教訓を紹介した。
(一)過剰の生産能力、債務、雇用はすべて、経済の周期的な問題ではなく、構造問題によって生じた。需要側ではなく、供給側から措置を講じる必要がある。
(二)需要と需求の変化に基づき、産業内で資源を順調に再分配させるためには、競争力を失った企業を市場から早期撤退させなければならない。
(三)企業を再生させるためには、コストを削減し低く抑える以外に、研究開発の強化が鍵となる。研究開発により、労働生産性を高めることができるからだ。
古賀氏は、「当時の日本と比べ、今日の中国は依然として高い成長の潜在力を秘めている。必要な構造改革を実施できれば、中国は安定成長を維持できるはずだ。短期的な調整を経て、安定成長を維持できるはずだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月21日