共同通信は12日、「日ロ外交筋は、安倍晋三首相とプーチン大統領による日ロ非公式首脳会談について、ロシア南部ソチで開催することを明らかにした。5月初めを軸に最終調整している。15日に東京でラブロフ外相と岸田文雄外相が会談し、正式に合意する」と報じた。
安倍首相は就任以来、日ロ関係の改善を目指してきた。プーチン大統領は2014年に訪日を予定していた。しかしウクライナ危機勃発後、日本は対ロ制裁国に加わった。プーチン大統領はこれを受け、訪日を棚上げにした。ロシア側は、両国首脳の交流が停滞していることについて、日本側に責任があるとしている。
日ロはクリル諸島(千島列島)南部の四島の領有権を巡り激しく対立しており、現在も平和条約を締結していない。安倍政権は交渉による四島返還の意向を何度も示している。しかしロシアは、日本による四島返還要求は、第二次大戦の敗戦の結果の再定義の要求であり、四島の領有権に関する係争も、交渉の余地も存在しないとしている。
しかしロシアの態度には今回、軟化が見られた。共同通信によると、ラブロフ外相は訪日前、四島の領有権問題の解決に向けた交渉を「拒否しない」と表明し、「四島の領有権を完全にはっきりさせたい」と述べた。
しかしアナリストは、「ロシアが領土問題で日本との交渉に乗り出そうとしても、安倍首相が願っているような四島返還に応じるわけではない。ロ日双方の基本的な立場が、短期間内に根本的に変わることはないからだ」と指摘した。
日本と旧ソ連は1956年にモスクワで共同宣言に調印した。旧ソ連は平和条約締結後、四島(歯舞、色丹、国後、択捉)のうち、歯舞と色丹の二島を日本に返還することに合意した。ロシアは旧ソ連解体後、この政治遺産を受け継いだ。
しかしながら日本は、日本の敗戦を利用しロシアが四島を占有したことは「違法占領」であり、四島を日本に返還しなければ平和条約の締結はあり得ないとしている。ロシアは、両国の共同宣言に基づき、平和条約の締結を前提とし歯舞と色丹の二島を日本に返還するしかないとしている。双方が譲歩を示していないため、日ロの領土問題が懸案事項となっている。
しかも米国のアジア太平洋リバランス、日本との軍事同盟の強化により、ロシアは一定の脅威を感じている。南クリル諸島(北方四島)のロシア軍に対する軍事的な重要性も高まっている。かつ現地は漁業資源が豊富で、ロシアは近年これらの島嶼への実効支配を強化している。そのため日本が歯舞と色丹のみの返還を求めたとしても、それほど容易なことではないかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年4月14日