欧州歴訪中の日本の安倍晋三首相は現地時間3日、EU本部を訪問し、ベルギーのシャルル・ミシェル首相と会談した。
双方は3月にベルギーで発生したテロ事件をめぐり、テロ対策に関する二国間協議の初会合を、年内開催することで合意した。
安倍首相はミシェル首相に対して、今月25、26日に開かれる主要7カ国(G7)伊勢志摩サミットで、テロ対策が重要な議題になると伝えた。安倍首相はまた、行動計画を制定し「世界のテロ対策をリードする決意」を示した。
安倍首相は同日、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長、ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長と会談した。欧州と日本のFTA(自由貿易協定)の交渉推進が、重要な議題の一つになった。トゥスク議長は会談後、記者団に対して、今年下半期の日欧首脳会談でFTAが締結されるはずだと述べた。
中国社会科学院日本研究所外交室長の呂耀東氏は新華社の取材に応じた際に、安倍首相の欧州歴訪中の議題と発言内容について、「安倍首相の今回の歴訪の前半戦は、まもなく開催されるG7サミットの準備だ。一般的な議題の他に、安倍首相は別の議題を押し込んだ。これは中国の南中国海におけるいわゆる軍事化であり、安倍首相の欧州歴訪の重要な目的だ」と指摘した。
呂氏は、「G7外相会談後、日本の首脳は直ちに欧州を歴訪した。G7という富裕国クラブの4人のメンバー(フランス、ドイツ、英国、イタリア)は欧州諸国だ。安倍首相は欧州歴訪で、一部の議題で合意し、関連議題をG7サミットに盛り込もうとしている」と分析した。
経済、気候、テロ対策、国際的な問題が通常通りサミットの議題になる。日本は今年サミット主催国で、当然ながら朝鮮半島問題などより差し迫った議題を取り上げようとするだろう。
呂氏は、「安倍首相の今回の歴訪を読み解く上で無視できないのは、歴訪中に何度も南中国海問題に言及し、訪問先の支持を集めようとしていることだ。先ほどG7外相は海洋安全声明を発表し、南中国海問題に言及した。安倍首相は欧州歴訪中にいわゆる南中国海の安全に繰り返し言及し、この議題を無理やり押し込むことで、G7サミットの気運を高めようとしている。日米は同問題で立場を一致させているが、安倍首相は欧州歴訪でこの立場を強化しようとしている。これと比べると、その他の議題は安倍首相の訪問の建前になっている」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月5日