米大統領選へ向けた共和党の候補指名争いにほぼ勝利したNYの不動産王トランプ氏は、タブーでも大胆に発言することから「ビッグマウス」と呼ばれている。彼のさまざまな主張、例えばメキシコとの国境線に壁を建設する、ムスリムの米国への渡航を禁止するなどは、米国の政治エリートを驚愕させている。
トランプ氏は最近、米国の「親しい同盟国」である日本に矛先を向け、日本に在日米軍の経費を全額負担するよう求め続けている。トランプ氏はまた、日本の米国産牛肉に対する関税が高すぎると批判し、日本車の関税の大幅引き上げを「報復手段」にすると豪語している。
米国、日本、豪州、マレーシアなど12カ国が今年2月に調印した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)により、日本は協定発効後、輸入牛肉の関税を38%から段階的に9%まで引き下げる。米国は25年内に、日本車に対する2.5%の関税を撤廃する。しかしながらこの協定は、トランプ氏から強く反対されている。
トランプ氏は、「TPPはクソみたいな協定だ」と攻撃した。さらに米大統領に当選した暁には、貿易保護主義により米国の製造業を復興させるとし、8年内に19兆ドルの負債をなくす国家政策を打ち出すと約束した。製造業が不況に見舞われ、失業者が増加している米国にとって、この主張は一定の魅力を持つが、日本にとっては悪夢に過ぎないと分析されている。
日本はトランプ氏が米大統領に当選すれば、自由貿易に衝撃をもたらすばかりか、日米安全保障体制にも影響を及ぼすことを懸念している。