ロシア・トゥデイ(電子版)は8日、専門家による記事を掲載した。要約は下記の通り。
プーチン大統領と日本の安倍晋三首相は6日、ロシア・黒海のリゾート都市ソチで、3時間の会談を開いた。しかし誰もがこの会談を喜んでいるわけではない。日本の同盟国の米国は、安倍首相がこの会談に出席にすることに強く反対し、オバマ大統領は個人的にソチに行かないよう要請していたという。
この会談には重大な外交の意義がある。安倍首相にとって、これはプーチン大統領と領土問題について面と向かって議論する機会だ。しかし米国にとって、これは米国と同盟国が構築した「反ロ統一戦線」の不快な裂け目を意味している。
ロ日間の南クリル諸島(日本名・北方四島)の領有権を巡る長期的な係争により、両国は戦後も平和条約を締結していない。1945年のヤルタ協定に基づき、ロシアはこの重大な戦略的意義を持つ地区の主権を宣言し、南クリル諸島が米国の承認を経て旧ソ連に移譲されたことを主張している。しかし日本はこれに否定的な態度を持っている。
ロシアは南クリル諸島で軍需産業を発展させ、同地域を重要な社会・経済発展に利用する計画を立てている。率直に言えば、プーチン大統領が直ちにこの島を手放すことに期待している人は、安倍首相を含め一人もいない。しかしながら安倍首相は、ロ日双方の経済・技術面の協力を強化することで、ロシアのこの係争における立場を和らげることが可能と考えている。これはロシアの極東地域の振興を促すからだ。しかし大半の観測筋は、ロシア経済は現在低迷しているが、安倍首相のこの勝算は高くないとしている。
しかしロ日関係は、ロ日両国のみによって決まると誤解してはならない。米国も口出ししようとしているからだ。米国の最も主要な同盟国である日本は、この領土問題が極めて重要であることから、珍しくも米国の意志に抗っている。
安倍首相はプーチン大統領の機嫌を取るならば、日本の外交政策の決定権が米国政府ではなく、自分にあることを示さなければならない。米国からの明らかな圧力を考えるとこれは容易なことではないが、安倍首相は今月末に日本でG7サミットを開催するというタイミングの悪さにも関わらず、危険を冒そうとしたようだ。安倍首相はプーチン大統領との関係を悪化させる動きを望んでおらず、ロシアを孤立化させようとする米国の計画に緩みを作っている。
安倍首相はオバマ大統領の要請を断った後、安全担当者をワシントンに派遣し説明を行った。これは米国の日本への圧力を浮き彫りにした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月10日