米大統領選へ向けた候補指名争いが展開されるなか、トランプ氏が共和党候補になることがほぼ確定した。日本は不快感を抱き、懸念を深めている。
日本メディアは当初、トランプ氏のことを特に気にかけず、「不動産王」と称していた。これは彼が評価の低い成金に過ぎないという意味だ。しかしその後、トランプ氏は大胆な発言で米国の多くの現行政策を打ち砕いているが、常に米国の法律のレッドラインを越えておらず、賢明なプレイヤーであることに注意するようになった。
5月5日付日本経済新聞は、「トランプ大統領」の可能性を否定できないとした。仮にトランプ氏とヒラリー氏が大統領の座を争えば、政策をめぐる激しい議論により環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、日米安保同盟などに影響が生じる可能性がある。
トランプ氏はTPPに真っ向から反対しており、「愚かな協定」としている。ヒラリー氏も、現時点でTPPには賛成しがたいと表明している。米国の対日政策について、トランプ氏は日本を為替操作国と批判し、日米安保関係の現状が米国にとって不公平であると不満を漏らしている。ヒラリー氏も日本が円安を誘導していると批判し、「アジア重視」の路線を継承すると表明した。
またトランプ氏は、「在日米軍の撤退を検討する」と表明した。これは「日米安保無用論」を浮き彫りにし、日本を驚かせた。日本政府の高官は最近、安倍晋三首相の日米同盟強化に対する疑問を払拭するため、対応に追われている。
日本メディアによると、自民党の高村正彦副総裁は4日に北京を訪問した際に、「トランプ氏の発言が支持者の心に根ざせば、懸念すべき要素になる。日本政府は、日米同盟のアジア太平洋全体の利益に対する影響が、現在ほど重要な時はないことを(米国に)確認し続けなければならない」と表明した。日本の岸田文雄外相も4日の外遊時に、誰が米大統領になろうとも、日米同盟関係の発展を維持することを願うと表明した。安倍首相の側近は、G7伊勢志摩サミットを利用し、米国にポストオバマ時代の対日政策の約束を促す必要があると表明した。
日本人学者の後藤錦隆氏は、「日米はいずれも安保体制を利用している。米国は日本に対する軍事保護のあいまいな尺度により、米国に軍事的に依存する日本の心理をコントロールし、米国自身の地域における戦略的利益を確保している。日本は周辺の安保環境の深刻性を強調し、自国の軍事的権限を拡大し、最終的に戦後レジームから脱却することを求めている。アジア太平洋の繁栄の礎は、中国だ。安倍首相が世界でどれほど声を張り上げ動きまわろうとも、米国が日本のためにアジア太平洋で対中戦争を起こす可能性は極めて低い。これは米中の多くの戦略的利益が深く交錯するという現実と流れによって決まる。日本の真のエリートは、これをはっきり認識している。ましてや一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)やアジアインフラ投資銀行などの戦略的構想の推進に伴い、世界は中国に対して尊敬の念を抱いている。中国は安倍政権や、地域内で今後日本を巡り生じる問題を座視し、盲目的な自信を持つべきではない。またその問題だけに注目するのではなく、地域さらには世界という大きな枠組みの中に置き、動的に、つながりをつけ、総合的に観察・分析することで、より理性的で正確な、指導的意義を持つ観点と結論を導き出すべきだ」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月9日