ロシアのプーチン大統領は6日、訪問した日本の安倍晋三首相と会談した。日本の一部メディアは報道の中で、安倍首相の訪ロに政治的な意義を持たせ、「中ロ関係のバランス化」の重要な手段とした。
日本がロシアなどの国との関係改善に取り組むことに、中国が反対したことはない。しかし一国との関係改善に、他国との関係をけん制する考えを差し挟むならば、これは紛れもなく冷戦時代の対抗的な外交の発想だ。現在社会と発展の時代は、グローバル化と相互依存が避けられなくなっている。各国・各地域は緊密に交流し、高度に融合し、その中で相互関係を深く発展させている。一対の関係で別の一対の関係をけん制しようとするやり方は、時代の発展の流れに合っておらず、自国と他国を損ねることになる。
中ロ両国は包括的・戦略的パートナーシップを結んでいる。両国は互いに信頼し、ハイレベルかつ緊密な政治および軍事交流・協力枠組み、文化交流・協力枠組みを構築している。経済交流も、日ロ経済交流よりも緊密だ。中ロの貿易額は、日ロの約2−3倍だ。安倍首相は8分野の対ロ投資・経済協力に期待しているが、短期間内に中ロ間の貿易額・経済協力水準を追い越すことはない。
安倍首相は投資・経済協力によってメリットを手にしようとしている。主に北方領土の一部を返還させることで、有権者からの支持率を高め、7月の参院選で自民党に勝利をもたらそうとしている。ロシアは完全に、安倍首相がロシアを利用する目的を理解している。また安倍首相は、日本とロシアの経済協力は、日ロ平和条約の交渉と合わせて推進していかなければならないとした。これは平和条約の交渉がスムーズに進まず、領土の一部返還という目的を満たさなければ、日本がこれらの投資・経済協力の推進を中断する可能性があるという意味だ。
ロシアは日本を含む西側制裁連盟を打破するため、日本との領土問題をめぐる交渉への意欲を示した。これはまず日本を引きつけ、日本に積極的に投資させることで、西側制裁連盟に突破口を見いだし、国内経済の発展を促すためだ。このような協力関係によって、着実に前進し発展を深める中ロ関係をけん制しようとしても非現実的であり、実際には可能性も欠けている。
中日ロはいずれも北東アジアという同じ地域に位置するため、この相手の邪魔をする外交関係の処理は、北東アジア全体の経済協力に損害をもたらす。地域内の国が徐々に統一に向かい、自由貿易区の建設を推進することが、各国にとって最も有利な選択肢だ。北米自由貿易協定とEUの発展は、世界の地域発展の縮図になっている。北東アジア諸国が長期的に内戦に陥れば、北米ばかりかEUの発展に遅れを取ることになる。そうなれば中国だけではなく、地域内の日本やロシアなどすべての国が損失を被ることになる。(周永生:外交学院国際関係研究所教授、日本研究センター副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月9日