5月6日、日中韓三国協力事務局(TCS)の楊厚蘭事務局長が人民大学で、「中日韓地域協力とTCSの役割」について講演をした。
TCSは中日韓3国首脳会議の産物である。3カ国の幾度もの交渉を経て、2010年に3国首脳は「三者間協力事務局の設置に関する覚書」を発表し、三国政府は「三者間協力事務局の設立に関する協定」に著名した。2011年9月27日、TCSはソウルで発足した。
2014年末、中日韓3国の人口は世界人口の21.3%、経済規模は世界経済の21%、貿易総額は世界の20%前後を占めている。うち、3国の経済規模はアジアの70%、北東アジアの90%である。楊氏はそれについて、3国は北東アジアの成長の柱、アジアの成長の原動力で、世界の成長に重要な役割を果たしていると話した。
3国の今後の協力について、楊氏は次のように語った。試練はあるが優位性もたくさんある。まず、3国は地理的に近く、地政学の面で優位性がある。また、制度は違うが、古くから儒教の影響を受けているため、文化的に近い。その次に、経済には相互補完性がある。中国経済は現在、転換期にあり、技術発展の経済成長への貢献度を高めようとしている。それに対し、日韓両国は先端技術を持っているが市場はそれほど大きくないため、現実の面で3国協力の条件が整っている。そして、三国の貿易総額と対外の投資額の規模は大きいが、EUとNAFTAと比べ、三国の相互依存度が低いため、協力の余地が巨大である。
協力の未来は明るいが、現実的な問題も無視できない。「最大の試練は政治の相互信頼」と楊氏は話す。日本は誤った歴史観を持ち、領土問題で中韓と矛盾があるうえに、米国による「アジア太平洋のリバランス」も進んでいるため、3国の政治の相互信頼と国民間の感情は薄い。ただ、TCSの公式サイトを見ると、防災、青少年の交流、観光、教育などの面で展開されているイベントの情報が掲載されている。楊氏によると、国民の交流と相互理解を促すために、事務局も「アジアキャンパス」「文化の都」などのイベントを開催した。また、大学総長のシンポジウムを催す予定もあり、2020年までに3国を訪問する人の数を3000万人まで増やす考えである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月9日