M7.3の熊本地震の本震から、すでに1ヶ月が経過した。4月14日の前震から計算すると、熊本県と周辺地域ではこの1ヶ月余りに渡り、震度1以上の地震が1400回以上発生している。これほど強く大規模で持続的な震災は、日本のような地震多発国であっても極めて稀だ。今回の地震による大きな被害、震災後の復興の難しさを伺うことができる。
日本メディアが発表した最新の統計データによると、今回の熊本地震では家屋の倒壊や土砂崩れにより49人が亡くなり、1人が行方不明となっている。また震災後の避難生活で、健康面の原因により亡くなったと疑われる人が19人に達している。
熊本県と大分県の避難者の数は、ピークの約20万人から約1万人に減少している。熊本県の避難所も、855カ所から244カ所に減少している。しかし多くの人は余震を恐れ、テントや車の中で寝泊まりしている。避難所を徐々に減らすため、被災各地は仮設住宅の建設を急ピッチで進めている。熊本市は5月14日に96戸の仮設住宅の建設を開始し、6月には入居可能となる見通しだ。
住民の死傷のほか、今回の熊本地震は主に農業に大きな影響を及ぼした。共同通信の報道によると、今回の地震は九州の農林水産業にとって深刻な打撃となった。熊本県は九州最大の米の産地だ。震災後、同県の水田の約1900カ所に損害が見られ、修復費用は78億円に達すると見積もられている。また多くの被災現場の調査が進んでおらず、被災状況が今後さらに拡大すると見られる。被災状況が深刻な熊本県の稲作農家は、今年の種まきが不可能になっている。さらに一部の農家は、今回の地震により「鞍替えを検討せざるを得ない」と表明した。
被災地で再建に当たる労働力の不足が、日増しに深刻化している。専門的な業者が殺到する修理要請に対応しきれないため、被災地の多くの住民は自ら屋根に上がり、震災により損傷した自宅を修理している。余震が続き、雨で滑りやすいため、多くの住民は修理中に屋根もしくは梯子から転落し、負傷している。熊本市の病院の関係者は、「家屋の修理は慎重に」と呼びかけている。
地震・津波・台風・噴火といった重大な自然災害が頻発する国である日本は、防災・減災・災害救助の豊富な経験を積み重ねている。また効果的で世界各国が参考・学習する価値のある、合理的な手段と制度を作り上げている。しかし政治体制、財政・税制、党の利益、経済コストなど多くの客観的な原因と主観的な目論みにより、日本の再建、特に被災地住民が生産・生活を再開するための総合的な計画と長期的なメカニズムは、常に不満が残る状態となっている。東日本大震災と津波、それに伴う福島第一原発の事故から約5年半が経過するが、今日も多くの被災者が仮設住宅暮らしを強いられ、故郷を離れ「避難」の状態に置かれている。この先例があるため、熊本地震後の再建が、日本の安倍晋三首相が発言したとおり「十二分」に支援を受けられるかについては、今後の経過を見守る必要があると言わざるを得ない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月17日