忘れてはならない「慰安婦」の声

忘れてはならない「慰安婦」の声。

タグ: 慰安婦

発信時間: 2016-06-09 08:48:55 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

中国や韓国など11カ国・地域の民間団体または機関が1年余りの努力を経て国連教育科学文化機関(UNESCO)に提出した世界記憶遺産への関連資料申請がこのほど受理された。資料は「日本軍『慰安婦』の声」と名付けられた。

共同申請された資料は合計2744件にのぼり、「慰安婦」の史料と調査、抵抗についての文献を含む。中国や韓国、フィリピン、インドネシア、東チモールなどはいずれも、第2次大戦中の日本による「慰安婦」という性奴隷制度で大きな被害を受けた。当時のオランダ領殖民地のオランダ人女性も数百人が「慰安所」に入れられた。関連文献は英米などにも大量に保管されており、中国の「慰安婦」被害者について書かれた文献もある。慰安婦は、戦争で残された世界的な問題であり、世界各地の資料と研究成果をまとめることは、全世界が戦争を反省し、女性の被害を防止するのに重大な意義を持っている。

これらの記録は、生きた歴史を示している。資料の第一部分である「慰安婦」史料は、戦争中及び戦後戦犯審判期に作成された公共または個人の文書からなる。例えば1938年の旧日本軍華中派遣憲兵隊による調査報告によると、同年2月上旬、鎮江で慰安所に入った日本兵は延べ5734人で、同月中旬には8929人の旧日本軍将兵が慰安所に入ったとされる。歴史の詳細を語るこうした史料は、当時の犯罪行為の真相を一段と明らかにするものとなる。

進歩の土台は闘争である。今回の資料にはさらに、各地の旧日本軍の「慰安婦」被害者の調査資料や写真、画像、作品、診療記録のほか、中国人の万愛花や李秀梅、各国の人々が参加した被害者支援や人権回復運動などの資料のも含まれ、生きた歴史を物語っている。韓国の「慰安婦」被害者とその支援者は1992年から、毎週水曜日の午前、日本駐韓国大使館前で抗議集会を行ってきた。24年にわたって欠かさず続けられたこの抵抗は、世界の歴史においても例を見ないもので、人類が永遠に覚えておくに値するものである。

日本社会は長期にわたり、「慰安婦」問題に対して回避の態度を取ってきた。日本政府は、責任を認める「河野談話」を発表もしたが、「日本が慰安婦を強制徴用したという証拠はない」といった否認がむしろ目立ってきた。11カ国・地域のこれらの資料は、日本政府とその軍隊が女性を強制徴用し、「慰安婦」制度を推し進めていた事実をさまざまな側面から山のような証拠で裏付けている。

旧日本軍の「慰安婦」関連文献を世界記憶遺産に申請するのは、忘却を拒むためである。「慰安婦」の歴史文献を永久に残すことは、「慰安婦」制度に対する人類の反省と思考、批判を後押しすることとなる。同時に、旧日本軍の「慰安婦」被害者の名誉と尊厳を守り、これらの貴重な資料が十全に保存され、人類の歴史の重要文献となることを促進することにもつながる。歴史の歪曲を防止し、日本による侵略の歴史を正しく記録・評価することは、悲劇の再演を回避することを可能とする。

歴史問題を解決するには、歴史の中へと戻らなければならない。日本政府と韓国は昨年、「慰安婦」問題を「不可逆的」に解決する合意を達成した。この合意がはらむ問題は少なくないものの、「日本政府は責任を痛感」という記述や、安倍晋三首相が朴槿恵大統領の電話で伝えた「心からのお詫びと反省」、日本政府による「予算」の形式での10億円の基金の提供は、「慰安婦」問題に対する日本政府の一定の認識を示している。「慰安婦」資料の世界記憶遺産申請はだからこそ、日本政府の態度にとっての試金石となる。日本政府がこの問題を本当に「不可逆的」に解決したいのなら、「慰安婦」資料の申請に前回のようなあからさまな反対を示し、自らのイメージを壊すべきではなく、その成功を平静に受け止め、日本に課された悔恨を世界に向けて示すべきではないか。(文:上海師範大学教授、世界「慰安婦」資料世界記憶遺産申請中国首席専門家)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月9日

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