英国は国民投票で、EU離脱を決定した。世界各国は再び自国通貨高の圧力を受けている。各国の中央銀行の景気刺激の難易度が増している。
リスク回避通貨の円とスイスフランが急騰し、両国企業がリスクに直面している。今年のドル安で収益を拡大していた米国企業は、第2四半期の業績報告前に為替相場の圧力を迎えた。
これらの動きを受け、中央銀行は干渉・調整に乗り出し、自国通貨高の進行を緩める可能性がある。通貨高は一般的に、輸出企業の競争力を損ねるとされている。これは商品の実質価格が上昇するからであり、輸入価格の低下も国内の物価を下げる圧力をもたらす。これは調整により経済成長と物価上昇を目指す日本・欧州・米国の中央銀行にとって、大きなつまずきだ。
国際決済サービス企業「Commonwealth Foreign Exchange」のOmer Esiner市場チーフアナリストは「景気刺激の進展に通貨高が影響を及ぼすのを座視する当局者はいない。中央銀行による干渉は合理的だ」と指摘した。
しかし各国の通貨安は一日にして実現できるものではなく、かつ中央銀行も通貨高を促す市場の力に対抗しがたい。
日本を見れば明らかだ。日銀はマイナス金利政策を打ち出したが、今年は大幅な円高が続いている。英国が先週の投票でEU離脱を決める前、円は今年ドルに対して10%以上の円高となっていた。ドル円相場は先週一時、2013年末ぶりに1ドル=100円を割り込んだ。円相場は今年に入ってから、約18%上昇している。
日本の疲弊する輸出業が直面する潜在的な脅威により、日銀が円高対策に介入する圧力が拡大している。メリルリンチ10大工業国為替相場戦略事業欧州担当者のAthanasios Vamvakidis氏は、日銀が次の政策会合で新たな金融緩和策を打ち出す可能性があると予想した。