英紙「フィナンシャル・タイムズ」のウェブサイトに10日、「日本、ミャンマーに『魅力』攻勢中国を牽制」と題した記事が掲載された。筆者のマイケル・ピールとレオ・ルイスはこの中で、日本は、ミャンマーでの魅力のアピールと投資攻勢を拡大し、東南アジアで最も影響力を持つ、中国を牽制する勢力になろうとしていると指摘している。ミャンマー新政府の5年の転換期で、ミャンマーの日本企業の数量は6倍となり、日本語の授業も急速に増えている。東京はさらに、工業プロジェクトや公益事業に数10億ドルを投じている。
記事によると、日本は、ベトナムなどの南方の新興国と親密な関係を築き、新たな市場を獲得し、中国への依存を低めようとしている。ミャンマーへの投資ブームはそうした幅広い努力の一つと言える。
日本貿易振興機構(ジェトロ)のミャンマー部門の責任者である山岡寛和氏は、「ここで起こっていることは既視感を覚えさせる」と語る。ベトナムでのポストに就いていた際には、ベトナムでの外国人投資ブームを経験した。「本当のビジネスはまだ始まっていない」
経済の急速に成長するミャンマーでは、複数の大国がポジションの獲得をめぐって争っている。日本もその国の一つだ。ミャンマーでは、政治変革によって、ここ50年以上で初めての文民をトップとした政府ができたばかりだ。
日本は、ベトナムなどほかの東南アジアの新興市場でも競争に参加している。しかし政治転換の生んだ「化学作用」で、日本はミャンマーで特殊な競争優位を持つことになった。
記事によると、ミャンマーの軍事政権が2011年に正式に新政府に移行してからも、米国やその他の西側諸国は慎重な態度を取り続けてきた。独裁政権による高圧的な統治の間に実施した制裁措置の影はまだ漂い続けている。
ミャンマーは同時に、中国への依存を軽減したいとのシグナルを発している。注目すべきなのは、北京の支持を取り付けていたミッソンダムプロジェクトが2011年に一時停止となったことである。