フィリピンが一方的に申し立てた南中国海仲裁案のいわゆる臨時仲裁裁判所が12日午後に結果を発表すると、中国外交部は直ちに「このいわゆる仲裁の裁決には拘束力がなく、無効かつ違法である。中国がこれを認めることも、履行することもない」とする声明を発表した。日本政府は待ちきれないとばかりに、南中国海仲裁案の結果に歓迎を表した。このフィリピンが起こした違法の仲裁案の前後、日本政府は強い意欲を示してきた。日本政府の積極的な参与の裏には、どのような「深謀遠慮」が隠されているのだろうか?
(一)米国の「アジア太平洋リバランス」戦略に迎合する。第二次大戦後にサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約が締結されると、日本は米国の外交政策に追随し、さらには「米国の目を通して世界を見る」という習慣的な考えを養った。米国が「アジア太平洋回帰」を宣言した後、日本は米国のアジア太平洋政策に追随してきた。南中国海問題に多くの熱意を注ぎ、中国脅威論を過度に喧伝することで、ASEAN諸国に日米への過度な依存を迫り、米国の「アジア太平洋リバランス」戦略の実施に役立てようとしている。
(二)中国の台頭に向け厄介事をこしらえる。中国のGDPは2010年に日本を抜き、その後さらに差を広げた。日本の南中国海問題への関心は、2010年以降のGDPの差の拡大に伴い高まっていった。中国がGDPで日本を追い抜き、その差を急速に広げることで、長期的にアジア諸国のリーダーを自称してきた日本が不快感を抱き、恥ずかしさにいたたまれず憤ってさえいる。これは日本が一連の後ろめたい手段により、中国の発展を妨害しようとする理由でもある。日本は間違いなく、南中国海情勢が中国の発展に影響を及ぼすことを喜んでいる。
(三)日本は南中国海問題を利用し国内の不満をそらし、改憲と安保法の実施に向け有利な条件を整え、さらに東中国海のガス田および釣魚島(日本名・尖閣諸島)の問題で中国に圧力をかけようとしている。日本経済は低迷を続けており、「次の10年」を失いつつある可能性が高い。また長年に渡る少子高齢化問題は、適切に解決されていない。国内問題の好転が遅れているが、安倍政権はこれを見て見ぬふりし、ひたすら改憲を目指し、安保法を実施しようとしている。これは自ずと国民の強い不満を招いている。安倍政権は南中国海問題を利用し、中国の脅威を誇張することで、国民の目をそらし、かつ戦後の平和憲法の改正、安保法の実施に向け有利な輿論を醸成できる。南中国海仲裁案の裁決が発表されると、自民党はただちに中日両国の東中国海の係争の仲裁申し立てを手配し、すでに中国と世界の大多数の国によって否定されている、完全に違法で無効な手段により、中日両国の東中国海問題を解決しようとしている。これは世の識者の笑いものであり、自分で自分を欺くことにほかならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月18日