柳井氏と臨時仲裁裁判所 その闇を徹底的に暴く

柳井氏と臨時仲裁裁判所 その闇を徹底的に暴く。

タグ: 柳井俊二 臨時仲裁裁判所 南中国海

発信時間: 2016-07-22 16:07:09 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

フィリピンが申し立てた南中国海仲裁は法律の衣をまとった茶番劇であり、脚本・監督・主役・脇役・大部屋俳優・口添え役などがそれぞれの役を真剣に演じてきた。その中でも、日本のベテラン外交官・国際海洋法裁判所の柳井俊二元裁判長は、臨時の仲裁裁判所の設立において核心的な役割を果たした。

国際海洋法裁判所の裁判長に在任中、柳井氏は臨時の仲裁裁判所を自らの手で立ち上げた。手続き上では一応「国連海洋法条約」に合致するが、柳井氏の独特な身分・背景及び持論・政治傾向などの要素を見ると、いずれも「国際司法独立性原則」に背くものである。そのため、同裁判所は発足の日から公正性・合法性に欠けるという欠陥を抱えていた。

柳井氏の公的イメージ:親米・抑中の「右翼タカ派」

「国際司法独立性原則」(BHP)の10段落目に、係争当事国のどちら側と何かのつながりがあれば、裁判長の公正性が疑われるとある。司法実践の中で、つながりの有無の判断は、往々にして裁判長のキャリアで決まる。

柳井氏の長い外交官としてのキャリアで、「親米・抑中」と「右翼鷹派」のレッテルは目立ち、安倍首相とのつながりもよく知られている。こうしたキャリアと政治傾向は、国際海洋法法廷の職務を務めた際の価値判断を左右したといえる。

柳井氏は1961年に外務省に入り、40年間で、条約局長・総合外交政策局長・外務審議官・外務事務次官・駐米大使などの要職を歴任した。

外務省時代の柳井氏は釣魚島問題・日米安保などの敏感な事項に参与した。1996年10月、日本側の代表として、東京で行われた中日外務次官会談に参加し、釣魚島問題・日米同盟・歴史問題などについて討論した。1997年8月、事務次官に昇進した柳井氏は記者会見において、日米防衛指針の適用範囲は台湾海峡を含むとほのめかしたことがある。

2001年10月、柳井氏は外務省機密費流用事件で厳重訓戒処分を受け更迭された。こうしたスキャンダルに纏われた柳井氏だが、2005年に日本政府により国際海洋裁判所判事に推薦され、2011年から14年まで裁判長を務めた。2014年6月に判事に再任したが、裁判長の座を去った。

柳井氏の裁判長在任中、フィリピンは一方的に南中国海仲裁を申し立てた。柳井氏は裁判長として権力をふるまい、臨時の裁判所の設立に踏み切った。しかも、中国側不在という状況にかまわず、判事5人のうちの4人を決めた。

安倍政府とアキノ3世政権の間のこうした暗黙の了解は、もはや「たまたま」という一言では通せないだろう。

「たまたま」の次に再び「たまたま」か

2013年1月22日、フィリピンのアキノ3世政権が中比の南中国海に関する係争に関して一方的に仲裁を申し立てた際、シンガポール国際問題研究所の戴尚志所長は日本の影がちらつくことに気づき、同年1月29日に「南華早報」に掲載された記事で、「日本の役目は胡散臭い」と指摘した。

戴氏が不審に思ったのは次の2点である。一つは安倍氏の首相就任(2012年12月)直後の2013年1月、岸田文雄外相がマニラを外遊の最初の目的地にし、しかもフィリピンの海岸警備隊に艦艇の提供を約束したこと。

外務省が公表した1月10日の日比外相会談の紀要によると、両国外相は南中国海問題をめぐり、関連国が国連海洋法条約などの関連国際法を遵守することが重要であるという共通認識に達しており、(南中国海問題)で引き続き協力していくことで合意した。戴氏は、「東京と北京の関係が釣魚島問題で緊迫化する今、岸田氏の訪問からしばらくしてフィリピンが法律面で挑発してきたのは、本当にたまたまなのか」と疑問視している。

もう一つは、国際海洋法裁判所の裁判長が日本人の柳井俊二氏であることだ。「国際海洋法条約」付属文書七の第3項目は、国際海洋法裁判所の裁判長に特定の状況下で臨時の仲裁所を指定・設立する権力が認められるとしている。

臨時の仲裁裁判所の設立の経緯を見れば、戴氏の勘が当たったことがわかる。メンバー5人のうち、ドイツ人1人がフィリピンに指名されたほか、フランス・オランダ・ポーランド・ガーナ(英国との二重国籍)人4人はすべて柳井氏により決められた。

興味深いことに、柳井氏が最初に指名した首席仲裁官はスリランカのヒント氏だったが、妻がフィリピン人であるため、回避を申し立てた。

ところが、最も回避すべきなのは、柳井氏ご本人ではないか。

国際裁判官でありながら「首相ブレーン」のメンバーでもある

「国際司法独立性原則」の8段落目は、「裁判官・判事が司法の職能以外の活動で、司法の職能と抵触し、司法職務の公正性を損なってはならない」としている。

ところが、国際海洋法裁判所の裁判長に在任中の柳井氏は、日本の軍事・安保政策に深くかかわる政府ブレーンの一員となっていた。

小泉政権の時期、柳井氏は首相諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」のメンバーに選出された。2007年に安倍首相が設置した私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の座長として、集団的自衛権行使容認に関する憲法解釈の見直しを検討していたが、安倍氏の辞職により懇談会の討論は止まり、2012年の安倍氏の再登板ですぐに再開され、座長を務め続けた。2014年5月、同懇談会は憲法解釈の見直し及び集団的自衛権の行使容認に向けた報告書を安倍氏に提出した。安倍政府はこれを土台に、1年余りで集団的自衛権行使容認を中心とする新安保法を作成した。

周知のとおり、中日間では近年、釣魚島の主権及び海洋境界線をめぐる食い違いと係争が激化している。憲法改正や集団的自衛権の行使容認に力を入れ、日米同盟の強化を通じて武力脅威により対中優位を図る日本の首脳ブレーンの一員である柳井氏は、その司法の職能以外のポストを見ると、南中国海の仲裁担当にふさわしくないことは明らかである。

国連の役割を見下し、日本式「海洋安全保障原則」を吹聴

「国際司法独立性原則」の7段落目は、裁判官・判事が有する言論及び結社の自由はその司法職能の公正かつ独立的な執行を妨害してはならないとしている。

柳井氏は日本右翼の代表的な人物であり、その個人的な政治立場は非常に鮮明である。「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に在任中、日本は「憲法第9条の集団的自衛権を放棄していない」とメディアに度々強調した。

2007年5月、東京での演説で、柳井氏は「迎撃ミサイルの放置はもったいない」と暴言し、憲法改正の必要性を唱えた。

臨時の仲裁裁判所の設立から1ヵ月が経った2013年8月4日、柳井氏は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」座長としてNHKの番組に出演し、日本の島嶼に対する脅威や敵の存在を強調し、軍事強化などにより日本の安全を守る必要があると政治立場を公表した。こうした言論は中国を念頭においていることは明白である。敏感な時期にかかわらず、積極的にメディアでこうした正式な言論を発表するのは、柳井氏が仲裁にあたる公正性に重大な不備があることを示している。

同番組において、柳井氏は安全保障面で国連は役に立たず、日米安保に頼るしかないとまで公言した。その他の場で見せた国際秩序の擁護者としてのイメージと大きな乖離が見られる。

2016年2月、外務省主催の第2回海洋法に関する国際シンポジウムにおいて、柳井氏は主旨演説で、安倍氏がアジア安全保障会議やG7サミットで提起した「海洋安全保障を巡る3原則」を高く評価した。これで国際司法実践において、安倍政府の「原則」がまるごと国際法規則に持ち込まれることも想像がつくだろう。

欠陥のある卵に健康な雛を孵化できるはずがない

柳井氏と日本政府の関係は、「元古参外交官」に一括できず、その素行を見ると中国抑制の姿勢が目立つ。安倍政府との緊密なつながりと、国際海洋法裁判所の司法が求める公正性・独立性とは明らかに矛盾している。

言い換えれば、国際海洋法裁判所の裁判長である柳井氏は、南中国海仲裁において「利益関係者」であるため、公正性に欠け、「国際司法独立性原則」が定めた法定回避事項にあたり、この案件から回避すべきである。

外務省中国課元課長の浅井基文氏は柳井氏の元同僚だった。浅井氏は新華社記者に、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会座長だった柳井氏は安倍氏のパートナーであり、臨時の仲裁裁判所も安倍政権の意を仰いだ上で設立されたものであると話した。

浅井氏は、柳井氏による判事の決定はあるまじきことだと指摘し、「公平的に仲裁を行うつもりがあれば、アジアと南中国海の現状に詳しい人を選ぶべきである。柳井氏が指名した4人はこうした条件にまったくかなっていない。今回の判決を見ると、南中国海問題の素人が思うがままに出したもので、判決前に結論はすでに用意されていたとわかる」と語った。

欠陥のある卵に健康な雛を孵化できるはずがないのと同様、不備のある裁判長に合格できる裁判所を設立できるはずはない。中国外交部の報道官は7月12日、柳井氏は集団的自衛権の行使容認や第二次世界大戦後の国際レジームの束縛からの脱却のために安倍政権に力を貸し、重要な役割を果たしたと指摘し、「仲裁裁判所は設立当初から政治化され、合法的に設立されたものではない。権限外に審理し、判決を出すことは非法で効力を持たない」と語った。

道理を弁えた賢明な人なら、柳井氏やその慌ててかき集めた臨時の仲裁裁判所にこう「仲裁」を出すだろう。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月22日

 

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