日本の製造業はかつて、輝かしい成果を手にした。これはその独特な管理モデルと企業文化によるところが大きい。これは上下関係のはっきりした管理体制、精進を続ける企業の雰囲気だ。このこだわりの精神により、製造業を中心とする日本経済は世界のトップに踊り出た。しかし1990年代以降、日本の製造業に成功をもたらした企業文化が柔軟性を失い、各社が自ら閉鎖的になる内的要因となった。
日本の製造メーカーはある種の技術もしくは品質を最大限に高めることを得意とするが、世界的な技術革命という産業の環境には適応しがたい。「メイド・イン・ジャパン」は技術と製品の革新を強調するが、その多くは既存製品の技術を踏まえた上での改善と更新であり、新たな分野における画期的なアイデアを自ら模索しようとしない。現在の「インターネット+」の時代において、日本の製造業は市場の大きな方向から外れていっている。過度に細かい点と品質にこだわれば、コスト競争と現代の市場の需要に適応できない。
日本式の革新は消費市場から乖離しているが、その一部の原因は日本の製造メーカーがこの20年間に渡りより安い人件費と材料を求め、生産拠点を海外に移し、主な研究開発力を本土に留めたことにある。生産と研究開発を切り離すことで、革新的な部門が把握するエンドユーザーの情報が遅れ、一瞬にして変化する市場の需要を迅速に把握できなくなった。高品質と細やかな点にこだわる「匠の精神」により、日本の製造業は技術のアップグレードに夢中になりすぎた。技術と製品の実用性がマッチしなければ、高い技術を求めすぎることでむしろ企業にコストの危機をもたらし、市場競争力を失わせることになる。
日本社会の全体的な大環境を見ると、人口減、人口バランスの乱れ、内需の疲弊といった構造問題が、日本を長期的に苦しめていることが分かる。特に高齢化社会に突入すると、日本の若者の数が減少し雇用構造が乱れ、産業が活力を失っている。
高齢化により日本の創業の雰囲気が徐々に薄れ、産業の活力が低下している。錆びついた社会の歯車に促され、日本の若者は安定的な会社員を目指しており、創業と革新の熱意が薄れている。
日本の製造メーカーは近年衰退しているが、ハイテクなど核心的な競争力の優位を維持している。有名ブランドのソニーを例とすると、そのスマホは世界的なブームを起こしていないが、スマホカメラの技術を把握している。撮影は現在のスマホに欠かせない機能の一つで、これによりソニーはスマホ用コア部品の「影のチャンピオン」になった。
また一部の日本製造メーカーはエンドユーザー市場から離れたが、撤退を余儀なくされたわけではなく、自ら撤退を選択した。各社は、より高い技術力が必要だが競争が激しくない法人市場にモデルチェンジしており、依然として市場の力強い競争者である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月30日